英国食品基準庁(FSA)、培養肉・シーフード企業の認可手続きを直接支援する新サービスを開始

英国食品基準庁(FSA)スコットランド食品基準庁(FSS)が協力して、細胞培養食品を手掛ける企業の国内市場における認可手続きを助ける支援サービスを導入しました。

要件を明確にして認可手続きをスムーズに


この取り組みは、細胞培養食品(培養肉・シーフードなど)を市場に投入する企業が増加している状況に対応したもので、企業に認可プロセス全体にわたる指導を行い、製品が消費者の元へ届く前に必要な安全基準を満たすようにする目的があります。

FSAの副局長を務めるThomas Vincentは、「革新的な細胞培養製品が新たに開発されている中、これらの製品にはFSAの高い安全基準を満たし続けることが求められる。企業が最初から適切な手順を踏めるよう支援することで、細胞培養食品セクターの成長を促進しつつ、消費者には安全な食品の選択肢を拡大させられる」と説明しました。

具体的には、申請実施前の企業はFSA・FSSのチームと相談して、データ収集やリスク評価といった規制要件の明確化が可能に。早期の連携により認可プロセスの効率化を図り、申請後の遅延リスクを軽減できます。

申請実施後に、リスク評価を完了するため追加情報の提出が必要と判断された場合、企業は継続的な指導を受けることも可能。FSA・FSSにとっても、企業とのやり取りを通して新興の技術に対する理解を深め、より効率的かつ適切なリスク評価につなげる狙いです。

制度の充実に伴い申請数増加を見込む


FSAは、企業が申請実施の少なくとも6カ月前までにサービスの利用を開始するよう推奨。FSAのウェブサイトには申請前の問い合わせフォームも設置されています。

現在のところ、このサービスは細胞培養製品に焦点を当てていますが、将来的には精密発酵を手掛ける企業にもサービス提供を拡大する計画です。

これまでにFSAが受理した細胞培養製品に関する申請はわずかですが、「サンドボックス」の設置など制度の充実に伴い、今後は件数が増加する見込み。自国に先立って英国市場への進出を狙う企業も増加するとみられ、FSAは今後2年間で2つの製品について安全性評価を完了させると約束しています。

英国政府はまた、培養肉を含むイノベーション分野における施設の新設と改修に1億8,400万ポンド(約365億円)、工学生物学(engineering biology)分野の研究開発に1億9,600万ポンド(約389億円)を投入すると発表しました。

ラボスケールで得られた研究成果から商業生産への移行を支援し、代替プロテインやその他のバイオテクノロジー分野の成長を後押しする取り組みを積極的に進めています。

参考記事:
Cell-cultivated products Business Support Service | Food Standards Agency
UK’s Food Standards Agency launches support service to guide cell-cultivated food businesses through UK approval process | PPTI News
UK commits £184 million to engineering biology facilities for alternative proteins and biotech innovation | PPTI News

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