REWE GroupやOatlyなど4社が共同で、ドイツ政府に植物性ミルクの税率引き下げを要請

食品小売業者REWE Groupと植物性飲料メーカーのvly、Berief Food、Oatlyが共同で、植物性飲料に7%の軽減税率を適用するよう、ドイツ連邦議会に要請を行いました。
乳製品と同等価格の実現へ
欧州最大の経済大国であるドイツでは、すべての飲料に対して19%の付加価値税率(VAT)が課されますが、牛乳など従来の乳製品は「基礎食品」とみなされ、7%の軽減税率が適用されます。一方、オーツ麦、エンドウ豆、大豆などから作られた植物性飲料は基礎食品には含まれず、19%の標準税率が課されてきました。
上記4社の連合は、世界最大のオンライン署名プラットフォーム「Change.org」上でキャンペーンを立ち上げ、植物性飲料の税率を、現行の19%から7%へと引き下げるよう要求。
同プラットフォームでは2025年8月20日まで誰でも署名でき、24時間以内に5,000件を超える賛同を集めています。
GFI Europeによると、昨年、ドイツで植物性ミルク1リットルの価格は1.52ユーロ(約260円)だったのに対し、同じ量の牛乳は1.34ユーロ(約230円)。もし植物性ミルクに7%の税率が適用されていれば、平均価格は1.37ユーロまで低下し、通常の乳製品とほぼ同水準になっていました。
4社は、現在の19%という税率は特定の消費者層に不利益を及ぼすもので、連邦政府の気候、健康、栄養に関する政策目標とも矛盾していると主張。
ほかの主要食品と税率を等しくすることは客観的に見て必要、かつ社会的にも公正な措置であり、税金の減額分は企業が消費者へ還元すべきだとしています。
環境・健康面のメリットを強調
請願の根拠としては、次の5点が強調されています。
- 類似する製品の平等な取り扱い
動物のミルクを「主食」として分類する一方、植物由来の飲料を「飲料」とするのは不合理。不耐症、アレルギー、食の好みといったさまざまな理由から動物性乳製品を摂取しない人々にとって、植物性製品は重要な選択肢となっています。課税を等しくすることは、消費者の個別のニーズに基づいた選択を容易にします。
- 環境の持続可能性
税率の調整は、食料システムをより持続可能な方向へ転換するための手段ともなります。動物性乳製品と比べて、植物由来製品の製造に必要な土地と水は少なく、CO₂排出量も削減が可能。気候変動対策において重要な役割を果たすことができます。
- 経済的利益
政策評価研究所では、税率引き下げによる1年間の税収減少額を約4,000万ユーロ(約68億9,000万円)と推計。これに対し、CO₂排出削減により将来の気候変動コストが減少する効果は約6,240万ユーロ(約107億円)に上るとされ、経済的な観点から見ても合理的な措置です。
- 健康面のメリット
栄養が強化された植物性飲料は、フィンランドや英国など世界中の公式な栄養ガイドラインで推奨されており、バランスの取れた食生活をサポートします。ドイツ栄養学会(DGE)によると、ビタミンB12の補給などいくつかの点を考慮する必要はあるものの、植物ベースの食事は成人の健康にとって有益な可能性があるといいます。
- 欧州の他国との比較
ほかのEU加盟国を見たとき、ドイツほど植物性飲料に対して差別的な税率を設定している国はほとんどありません。例えば、フランス、チェコ、ポルトガルでは牛乳と植物性飲料に同じ税率が適用されています。
REWE GroupのEmilie Bourgoinは、「当社の店舗では、植物性タンパク質に対する需要が高まりを見せており、多くの消費者にとって良い補完品や代替品となっている植物性飲料も同様だ。税制上の平等措置は、真の選択の自由を促進するだろう。多様なタンパク源、食料主権、公正な競争に貢献するべく、業界パートナーと共に請願を行った」とコメントしています。
参考記事:
Petition: Rewe, vly, Berief and Oatly Demand Reduced VAT on Plant-Based Drinks in Germany
REWE, Vly, Berief And Oatly Call For Reduced VAT On Plant-Based Drinks | ESM Magazine
Rewe Group, Oatly & More Ask Germany to Reduce VAT on Plant-Based Milk
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