加熱する代替カカオ市場に原料大手のCSM Ingredientsが参入、キャロブベースの新製品「Nuaré」を発売

ベーカリー業界の大手原料サプライヤーCSM Ingredientsが、キャロブ(イナゴマメ)をベースにした新製品ライン「Nuaré」を発表し、カカオフリーチョコレートの市場に参入しました。

カカオ業界が抱える懸念事項に対応


1970年代の自然食品運動のさなか、マメ科植物のキャロブは、カカオの代替品として人気を博した過去があります。ほかの豆類とは異なりお菓子のような甘い味がすることから、俗に(やや蔑称として)「貧しい人々のチョコレート」とも呼ばれていました。

当時、キャロブチョコレートは一般に広く普及するまでには至りませんでしたが、ここ10年で状況が一変。収穫量の減少とコスト上昇を引き起こしているカカオ危機への解決策として、50年前には存在しなかった食品技術にも支えられ、多くの企業がこの地中海産原料に再び注目しています。

CSM Ingredientsによるキャロブを原料としたカカオ代替品の新シリーズ「Nuaré」の市場投入は、コスト、供給、持続可能性を巡る業界の懸念に対応する最新の動きとなりました。

各製品は既存の製造プロセスへ容易に統合できるよう設計されており、柔軟性、拡張性、コスト効率を保証。職人による手作業と工業生産という両方の環境下で、高い性能と汎用性を発揮します。

用途としては、変色やブルーム現象(温度変化でチョコレートの表面が白く粉を吹いたようになる現象)を防ぎ、凍結・解凍後も安定した表面を保つケーキコーティング、および粘度と接着性を最適化しなめらかで艶やかな仕上がりを保証するアイスクリームコーティングなどが挙げられています。

またカスタマイズも行え、顧客の要望に合わせた特注ソリューションの提供も可能です。

干ばつに強く栄養豊富なキャロブ


昨年から今年にかけて、世界のカカオ在庫は過去10年で最低水準に落ち込み、価格は史上最高値を更新しました。

異常気象と作物の病害が、最大生産国であるコートジボワールとガーナの農園を壊滅させており、研究者はカカオの木の3分の1が2050年までに枯死する可能性があると警告しているほどです。

これを受けて、世界最大のB2Bチョコレートサプライヤーであるバリーカレボーは、細胞培養カカオや植物ベースのカカオフリーチョコレートの事業機会を模索する動きをスタート。リンツピュラトスモンデリーズと行った大手も同様のソリューションに投資しています。

代替チョコレートを開発する多くの企業はソラマメやヒマワリの種などを原料に使用していますが、キャロブには干ばつに強く栽培資源が少なく済む、食物繊維・ビタミン・ミネラル・ポリフェノール・抗酸化物質を豊富に含むといった、いくつかの利点があるとのこと。

「Choruba」を展開するイタリアのForeverlandや、英国のWin-Win、米国・シカゴのMez Foodsが、自社製品にキャロブパウダーを配合しています。

参考記事:
CSM Ingredients Unveils Carob-Based Cocoa Alternatives to Tackle Costs & Climate Crisis
CSM Ingredients Launches Carob-Based Cocoa Alternative Range
CSM Ingredients introduces cocoa alternative ingredient range, Nuaré | FoodBev Media

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