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Fushine Bioが中国初となるマイコプロテインの販売認可を取得、次世代の食料生産を担う発酵タンパク質の転換点に

中国・江西省のJiangxi Fushine Biotechnology(以下、Fushine Bio)が、糸状菌フザリウム・ベネナタム由来のマイコプロテイン「FuNext」を中国国内で販売するための認可を取得したと発表しました。

食品分野の持続可能な発展のエンジンに


マイコプロテインに関して中国では初となるこの認可は、製品安全コンサルティング企業CIRS Groupの技術支援により達成されました。同社は以前、Fushine Bioが米国で同じ原料のGRAS(一般に安全と認められる)自己認証を取得する際にも支援を行っています。

中国の規制当局である国家衛生健康委員会(NHC)への申請は今年2月に提出され、食品安全リスク評価センターが7月にパブリックコメント募集のためのドラフトを公開。先月末に最終的な食品原料としての承認が下りました。

CIRS Groupは、「規制認可に伴い、フザリウム・ベネナタム由来のマイコプロテインは代替タンパク源として食品産業で広く採用される見込みだ。世界的な食料危機と気候変動に対処する革新的な解決策として台頭してきている」とコメント。

「政策支援と技術革新の両方に後押しされて、このタンパク質は間もなく健康的な食の新しい選択肢となり、食品分野における持続可能な発展の新たなエンジンとなるだろう」と述べています。

アジア太平洋最大のマイコプロテイン生産者


フザリウム・ベネナタムFusarium venenatum)は、1960年代に英国で代替タンパク質原料として開発されました。

現在では、EU、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドを含む複数の市場で承認されており、代替肉ブランドのQuornが生産に利用していることでもよく知られています。

この菌にグルコースと水を与え、バイオマス発酵技術を用いて生産されるマイコプロテインは、従来の農業に比べて必要な土地がはるかに少なく済み、通年で生産を行えるため、有用性が大いに期待されています。

Fushine Bioによると、同社独自の菌株は5時間ごとにバイオマスを倍増させることができ、家畜由来のタンパク質に比べて千倍高い効率性を実現。天然の繊維質の構造が動物肉の食感や口当たりを模倣し、高タンパク・高繊維で低脂肪と栄養面でも最適です。

同社はこのタンパク質を、ミートボールやナゲット、ソーセージに最適な「ウェット」、粒子サイズを調整可能なパウダー状で機能性食品やベーカリー製品、スナックなどに使える「ドライ」、動物の筋組織のような構造に仕上げた「ホールカット」の3形態で製品化。

年間1,200トンの生産能力を持つ、アジア太平洋地域では最大のマイコプロテイン生産者と称しており、現在年間20万トンの能力を持つ工業規模のラインも建設中です。

認可申請時に求められる要件が明確化


代替プロテイン界のシンクタンクGFI APACは、今回の認可を「世界で最も影響力のある食品市場の一つにおける、発酵タンパク質の転換点」を示すものと評しました。

SNS上に出された声明によると、中国政府の認可は成分に関する明確な規格を設けており、配合量の制限や、幼児や妊婦など特別な注意が必要な層に対する表示義務を定めている点が特徴。「これらが詳細に示されたことで、国内外の企業は将来の認可申請時に求められる要件を明確に理解できるようになった」と説明しています。

中国政府は目下、食料安全保障戦略を推し進め、タンパク質供給源の多様化と国内の食料生産支援を通じて、輸入依存度の低減を目指している最中。

GFI APACは、今回の認可は政府の目標達成に向けた具体的な進展であると同時に、「中国国外の企業にも確信と勢いをもたらし、原料需要、投資の優先順位、製造判断に影響を与えるだろう」と指摘しています。

参考記事:
NHC Newly Approved 3 New Food Raw Materials, 8 New Food Additives, and 3 Food-related Products – Regulatory News – Food & Food Contact Materials – CIRS Group
GFI APAC | LinkedIn
Fushine Biotech Gains Regulatory Approval for Mycoprotein in China
‘Turning Point’: Fushine Bio Obtains China’s First Regulatory Approval of Mycoprotein

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