培養肉の禁止を巡る法廷闘争に進展、訴訟の却下を求めたテキサス州の訴えを連邦判事が棄却

米国・テキサス州と培養肉スタートアップ2社との間で行われている法廷闘争に進展が見られました。企業側が提起した訴訟に対して、テキサス州が却下を求めて申し立てを行っていましたが、地方裁判所判事がこの請求を退け、続行が認められています。
証拠開示手続きに移り、裁判開始へ
2025年9月にテキサス州を被告として提起されたこの訴訟は、非営利の法律事務所Institute for Justiceが、カリフォルニア州の培養肉・シーフード企業UPSIDE FoodsおよびWildtypeの代理として起こしたものです。2社は、テキサス州で同月1日に施行された培養肉の販売禁止令に異議を唱え、訴えに至りました。
州側は訴えの却下を要求していましたが、地方裁判所判事のAlan Albrightは、合衆国憲法の「通商条項(Commerce Clause)」に基づく原告側の主張については、審理を進めるべきと判断。
ただし、禁止令に対する仮差し止め命令を求めた企業側の申し立ても棄却したため、現時点では禁止措置は引き続き有効で、両社とも州内では自社製品を販売できません。
法制定時、UPSIDE Foodsは前年に行われた試食イベントで培養鶏肉を数量限定で販売した経験があり、Wildtypeはオースティンのレストラン「OTOKO」で培養サーモンの提供を始めたところでした。初めの勢いを生かして州内の複数のレストランへの展開を予定していましたが、法案成立により進出が阻まれています。
UPSIDE Foodsの創業者でCEOを務めるUma Valetiは「培養肉は、安全な新手法によって生産される、正真正銘本物の肉だ。政府は既得権益を競争から守るためだけにこれを禁止すべきではない。私たちは製品をテキサスに届け、消費者に自分の舌で判断してもらうことを切望している」と話しています。
革新的な競合を排除し、州の産業を優遇する政策
2社が訴えた内容は、2024年にフロリダ州に対して行われた訴訟(現在も係争中)と概ね同じで、禁止措置は市民の健康や安全を考慮してのものではなく、州の産業と競合し得る州外企業を排除する経済保護主義に基づいたものであり、違憲と主張。
両社とも国の食品安全機関(FDAおよびUSDA)の認可をすでに得ているため販売は問題ないはずで、州間の商取引を妨げたり差別したりするような法律を各州が独自に制定することはできないとInstitute for Justiceは指摘しています。
今後、本件は裁判前の証拠開示手続きに移ることとなり、米国最大の食肉生産地であるテキサス州の立法者や強力な業界団体が、競争を排除し従来の食肉生産者を支援している事実を示す文書等が提示される予定です。
Institute for Justice所属の弁護士Paul Shermanは、「テキサス州は政府の権力を利用して市場における勝者と敗者を選別し、州内の農業を優遇して革新的な州外の競合企業に不利益を与えようとしている」とコメント。
「憲法は、政治的な力を持つ産業を州外との競争から守る名目で、州が市場を閉鎖することを認めていない。夕食のメニューを決めるべきは政治家ではなく、テキサス州市民であるべきだ」と述べました。
同様の禁止令はフロリダ州とテキサス州に加え、アラバマ州、ミシシッピ州、モンタナ州、インディアナ州、ネブラスカ州の計7州で導入されていますが、食肉業界の内部からも批判の声が上がっており、北米食肉協会(NAMI)は、これらを「悪い公共政策」の例と糾弾。
「いずれは法案の支持者自身に悪影響を及ぼす可能性のある政策や規制要件を採用する前例を作り出す」とし、やはり消費者の選択の重要性を強調しています。
参考記事:
Wildtype and UPSIDE Foods Gain Early Win in Lawsuit Against Texas’ Cultivated Meat Ban
Wildtype and UPSIDE Foods notch early court victory as Texas cultivated meat ban faces scrutiny | PPTI News
Judge Deals Early Blow to Texas in Lawsuit Over Cultivated Meat Ban


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