乳児用粉ミルク向けの生体分子を開発するドイツ企業Primogeneが、約7.5億円を調達

ドイツのバイオテクノロジー企業Primogeneが、乳幼児や高齢者向けの栄養補助食品・パーソナルケア製品における機能性成分を代替する生物活性分子の商業化に向けて、410万ユーロ(約7億5,300万円)の資金調達に成功したと発表しました。

酵素を用いて発酵生産のボトルネックを克服


本ラウンドはHigh-Tech Gründerfonds(HTGF)が主導し、Technologiegründerfonds Sachsen、Better Ventures、Sächsische Beteiligungsgesellschaft、バイオテクノロジー企業c-LEctaの創業者であるMarc Struhallaなどが参加しました。

ドイツ東部のライプツィヒに拠点を置くPrimogeneは、乳児用粉ミルクの原料となる成分など、天然由来の分子と構造的に同一の複雑な分子を再現するために、酵素を活用するバイオ触媒プラットフォームを構築。

COOのLinda KargerはSNSへの投稿で、「当社は生体分子の製造方法を変革し、これまで複雑すぎたりコストがかかりすぎたりして入手が困難だった分子の大規模生産を可能にしている」と述べています。

Kargerは、Reza Mahour(CEO)とValerian Groteと共に、2023年にPrimogeneを設立しました。以来、環境に優しい機能性成分や、栄養・パーソナルケア・医薬品向けの原料を製造するための、酵素を用いるバイオプロセスの開発を専門としています。

当初の開発対象として、ヒトミルクオリゴ糖(HMO)に注力。HMOには腸内環境の改善、免疫力の向上、そして乳幼児を病原体から守る働きがあり、その中でも未熟児に重要な臨床効果をもたらすHMOの一種、DSLNT(disialyllacto-N-tetraose)をターゲットとしています。

同社は、これらの原料を製造する既存の発酵ベースの手法は、多額の投資が必要な上運用コストも高く、製造可能な分子の複雑さに関して生物学的制約を受けると指摘。こうしたボトルネックを克服し、効率的な大規模生産をかなえる手法として、酵素プロセスを開拓しています。

乳幼児栄養に注力する背景には、年率18~20%の成長を遂げているHMO市場があります。2023年のデータでは、一年間に発売された粉ミルク製品の65%以上が、1種類以上のHMOを配合していました。

乳幼児栄養をはじめ幅広い分野での提携を目指す


Primogeneの技術は、乳幼児栄養の分野にとどまらず、成人の腸内環境改善、高齢者の認知機能向上、パーソナルケア製品の機能性成分として活用できる生体分子の開発にも使われています。

さらに、医薬品・バイオ医薬品業界向けに高品質な原料を供給し、欧州における現地生産によってサプライチェーンのレジリエンス強化に貢献。酵素の開発・生産からバイオトランスフォーメーション(BX)、下流工程に至るまで、全工程をライプツィヒの自社施設で管理しています。

同社はパーソナルケア分野で商業パートナーシップを確立しており、一部の有効成分はすでに市場に投入されています。医薬品原料についても共同開発が進展し、顧客による評価が進められている段階です。

現在は、DSLNTを含むヒトミルクオリゴ糖(HMO)の市場投入を目指して、乳児用粉ミルクや機能性食品メーカーとの協働を模索しているところ。

これまでにフラウンホーファー細胞療法・免疫学研究所(IZI)と提携して、自社成分が感染症予防に寄与する可能性を探ってきました。さらに、新生児集中治療室と連携し、早産児の母親の母乳中のHMO濃度をモニタリングすることで、新生児への臨床的に適切な投与量と適用方法の確立に貢献しています。

HTGFの投資アナリストStephan Ruckは、「Primogeneは、化学合成法や従来の発酵法では効率が悪く高コスト、かつ技術的に制約のあった複雑な生体分子の生産という、根本的な課題に取り組んでいる」と評価しています。

参考記事:
Primogene Raises €4.1 Million to Bring Nature’s Complex Bioactive Molecules to Industrial Scale
Primogene Bags $4.8M to Launch Enzymatic Breast Milk Biomolecules for Infant Formula
Primogene to scale nature-identical bioactives for infants and adults with €4.1M funding

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