EUの新プロジェクト「SALINA」がスタート、海藻由来の新規食品や化粧品の開発を目指す

欧州連合(EU)からの資金提供を受けた多国間プロジェクト「SALINA」が始動しました。大型藻類(海藻)のスケーラブルな養殖システムを構築し、食品、化粧品、バイオ素材の各分野に向けた高付加価値製品を開発することを目的としています。

沿岸地域に海藻由来製品の生産拠点設置へ


本プロジェクトは、EUの海藻資源を活用して、排出量の多い食品や化石燃料に由来する素材の代替品を海藻から生産できる「海洋バイオリファイナリー」の構築を目指すもの。

循環型バイオエコノミーの推進プロジェクトを支援するEUの官民パートナーシップ、Circular Bio-based Europe Joint Undertaking(CBE JU)から700万ユーロ(約12億8,000万円)の助成を受けています。

スペインの農業・食品技術センターASINCARをはじめとした22のメンバーが参加し、今後4年間で大規模な藻類の養殖とバイオマス加工技術を組み合わせた、低炭素型の沿岸海洋バイオリファイナリーの実現可能性を実証する計画。

その成果として、食品・スポーツ栄養、化粧品、バイオベース建築資材の各分野において、5種類の新規製品を市場に投入することを目標に掲げています。

CBE JUは今回、本プロジェクトに加えて「ALGANOVA」にも570万ユーロ(約10億4,000万円)の資金を拠出しました。こちらは、廃棄物やCO₂を栄養源とする微細藻類からタンパク質や機能性成分を生み出すバイオリファイナリーの構築を企図しています。

沿岸生態系の改善にも期待


現在、欧州の海藻生産量は年間約30万トンにとどまり、世界全体の1%に満たない程度。その32%は依然として天然採取に依存しており、沿岸部における海洋バイオリファイナリーの開発を進めることで、欧州の競争力向上が見込めます。

「SALINA」プロジェクトでは、在来の緑藻、褐藻、紅藻の各グループから対象種を選定し、革新的な混合養殖システムの試験を実施。藻類単独での栽培に加えて、ほかの低次栄養段階種との併用や、自然に根差した解決策(Nature-based solutions)の統合といった手法も取り入れます。

チームは廃棄物ゼロのアプローチに基づいて副産物のリサイクルを進めながら、バイオマスの前処理から高付加価値な成分・素材への加工に至るプロセスを構築し、実証スケールへと拡大させる計画。

最終的に、B2B向けの抽出物3種(それぞれ多糖類、ペプチド、食物繊維を豊富に含むもの)およびB2C向け製品2種(タパスボックス* とハイドロゲルパネル)の開発を目指します。

さらには、プロジェクトのバリューチェーンが及ぼす環境・社会・安全面への影響を評価するため、厳密なライフサイクルアセスメント(LCA)を実施。同時に、個別の状況に合わせたビジネスモデルの構築、ステークホルダーとの共創、そして分野横断的な連携を通じて、プロジェクトで生み出された革新的な手法がほかの分野や地域でも再現可能となるよう努めます。

これらの取り組みの核心にあるのは持続可能性であり、本プロジェクトではエネルギー消費を少なくとも30%削減し、養殖システムの50%以上に再生可能エネルギーを利用することを目標に設定。沿岸生態系の改善も図られ、水底に生息する底生生物を25%増加させられると期待されています。

* スペインの小皿料理「タパス」を詰め合わせたもの。

参考記事:
SALINA | LinkedIn
With €7M in EU Funding, Salina Project Eyes Seaweed-Based Novel Foods, Cosmetics & More
SALINA: A new European project to diversify seaweed cultivation and develop low-carbon products – F6S Innovation

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