英Marlow Foods、子会社Quornのマイコプロテイン供給体制を構築

Monde Nissin傘下のMarlow Foodsは、新部門としてMarlow Ingredientsを立ち上げ、子会社Quornのマイコプロテイン(菌糸体の発酵により作られるタンパク質)を原料として食品メーカーに販売する計画を発表しました。欧州内で提供を開始し、将来的には世界中に広げる予定です。

ヘルシーでサステナブルなマイコプロテイン


糸状菌であるフザリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)に由来する同社のマイコプロテインは、1960年代に英国で開発がスタート。1985年に初めて同国の市場に投入され、現在では世界中の100を超えるQuornブランドの製品に使用されています。

Quornのマイコプロテインはタンパク質含有量が高く、全9種類の必須アミノ酸に加え、食物繊維、数種類のビタミン・ミネラルを含んでいながら、飽和脂肪酸が少ないのが特徴。英カーボントラストの第三者レポートによると、マイコプロテインは従来の動物性プロテインよりも持続可能で、二酸化炭素の排出量がはるかに少なく、土地や水の使用量もごくわずかだと評価されています。

Quornはまた、マイコプロテインの栄養価に関する研究に対して、長年にわたって資金を拠出してきており、筋肉増強や腸内環境の改善に役立つ可能性を示す、豊富なデータを有している点も強みです。

赤字からの巻き返しを図る


Marlow Foodsの親会社でありフィリピンの上場企業Monde Nissinは、直近の四半期において、代替肉の減損費用205億フィリピン・ペソ(約503億円)が出た影響で、130億フィリピン・ペソ(約319億円)の損失を計上。Quornの損失を被る格好となっていましたが、このたびの新部門設立により巻き返しを図ります。

Monde NissinでCEOを務めるHenry Soesantoは、決算に関するプレスリリースの中で、今回の減損費用はインフレによるマージンの減少、代替肉に対する若干の関心低下、米国でQuornに再び焦点を当てたことに伴うコストなどによるもので、「悔しい後退」であったと述べています。

しかしながら、代替プロテインの長期的な成長の可能性を信じる同社。2022年の年次報告書によると、同社は世界最大のマイコプロテイン生産者であり、英国にマイコプロテイン生産用の大型発酵タンクを4基保有しています。消費者が代替プロテインに品質を求めるようになるにつれ、英国での売上も増加傾向にあるといいます。

発酵によって作られた代替肉が普及し始めると、原料メーカーがさまざまな食品会社と協力して、動物性プロテインの一部をマイコプロテインに置き換えた製品を開発できるようになる日も近いでしょう。

原料分野でも活躍するThe Better Meat Co.は、Maple Leaf FoodsやHormel Foodsと、同社のマイコプロテイン「Rhiza(リザ)」を使用した製品の開発で提携しています。

Monde Nissinとしては、同社の一部門(Marlow Ingredients)の製品が主力ブランドであるQuornと競合することを避けたい思惑があるため、Marlow Foodsの場合は多少の制約があると考えられますが、今後も他企業との提携を拡大させていく余地を残しています。

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