英国政府が発酵生産ハブの新設に約22.8億円を拠出、積極的な代替プロテイン投資を継続
英国研究・イノベーション機構(UKRI)が、発酵ベースの食品に特化した新たな研究センター「Microbial Food Hub」に1,200万ポンド(約22億8,000万円)の投資を行うと発表しました。
新規食品の枠組みに入る製品の開発や製造に対して、積極的に支援を行う姿勢を示しています。
伝統発酵から精密発酵まで、探求を進める研究ハブ
今回の投資は、昨年12月に発表された工学生物学(engineering biology)に関する国家ビジョンに基づくもの。持続可能な代替品で食料、燃料生産、医療の進歩に革命を起こすべく、今後10年間で20億ポンド(約3,800億円)を投資する方針を打ち出しています。
同ビジョンの策定に対し、英国政府担当大臣のAndrew Griffithは、「工学生物学は、世界的な課題に対処し、経済成長を促進し、国家の安全保障やレジリエンス、プリペアドネスを強化する大きな可能性を秘めている」と語りました。
「Microbial Food Hub」はインペリアル・カレッジ・ロンドンのRodrigo Ledesma-Amaroが主導し、レディング大学やケンブリッジ大学をはじめとした大学に所属する専門家や、産業界・食品業界のパートナーが協力する予定。
代替肉などの原料となるマイコプロテインを生産するバイオマス発酵や、生物学的に同一の卵タンパク質や乳タンパク質を作り出す精密発酵など、微生物を利用する技術を探求。同時に、植物性食品の栄養面を向上させる伝統的な発酵技術についても研究を進めます。
代替プロテイン投資を加速させる英国政府
The Good Food Instituteによると、UKRIは2023年、代替プロテインに対してそれ以前の10年間の累計よりも多くの投資を実施。
具体的には、培養肉に焦点を当てた細胞農業製造ハブ「CARMA」の設立にあたって1,200万ポンド(約22億8,000万円)を拠出し、「Better Food for All」コンテストで菌糸体ステーキ開発のAdamo Foodsを含む47社の受賞プロジェクトに対し、計1,740万ポンド(約33億1,000万円)を授与しました。
UKRI傘下の英国バイオテクノロジー・生物科学研究会議(BBSRC)としても、持続可能なタンパク質開発のために2,000万ポンド(約38億円)を確保しています。
英国政府はまた、新規食品規制の改革を行う検討も進めており、特に培養肉についてはイスラエルとの二国間協定による認可の加速を画策。英国食品基準庁(FSA)は今年の秋までに安全性試験を開始することを目指しており、試験用のラボ施設設立のため政府資金の獲得を求めています。
参考記事:
UKRI Engineering Biology Missions award millions in funding to Imperial projects | Imperial News | Imperial College London
UK Government Invests £12M in Fermentation Hub for Alternative Proteins
UK Regulator Eyes State Funding to Build Lab for Safety Testing of Cultivated Meat by Autumn
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