オランダの培養肉企業Meatableが生産期間の短縮に成功、細胞から4日間でソーセージに

オランダの培養肉メーカーMeatableが、細胞からソーセージまで「わずか4日間」という新たな生産上のマイルストーン達成を発表しました。同社がこれまで生産に要していた8日間をさらに短縮し、世界最速の細胞培養手法を実現したと主張しています。

養豚の60倍の速さを実現


Meatableによると、「このプロセスでは、害を与えることなく豚からたった1回細胞を採取するだけで、伝統的な養豚の60倍の速さで豚肉が生産できる」とのこと。

同社は、24時間という短サイクルで際限なく増殖を続ける能力を持つ多能性幹細胞と、転写因子(遺伝子の活性を調節するタンパク質)を活性化する特許技術「OPTi-OX」を用いた、費用対効果の高いプラットフォームを開発。

ウシ胎児血清(FBS)を用いることなく細胞の自然な成長を再現し、筋肉や脂肪への分化を迅速かつ正確にコントロールすることを可能にしています。

最初の製品としては、100%の培養肉ではなく、33%以上の培養肉と植物由来原料を混合したハイブリッドのソーセージと豚ひき肉を予定。

この記録的なスピードで生産できる培養肉の量については今回明らかにされていませんが、昨年11月にライデンのバイオサイエンスパークに新たなパイロットプラントを開設した際、200リットル(将来的には500リットル)のバイオリアクターで培養を行う計画を発表していました。

今年はシンガポール、来年に米国で展開へ


2018年創業のMeatableは、昨年完了した3,500万ドル(約53億円)のシリーズBラウンドを含め、累計9,700万ドル(約147億円)を調達しています。

初めて試食イベントを開催したシンガポールのレストラン向けに、数カ月中の提供開始を計画しており、2025年までに米国での展開に取り組む予定。

一方、欧州では、Cellular Agriculture Netherlandsの専門家委員会から承認を得た後、オランダ初の培養肉試食イベント開催を計画中。オランダ政府は6,000万ユーロ(約98億2,000万円)を投じて細胞農業を支援しており、試食イベントの承認など先進的な決定を下しているものの、販売にあたってはEUの規制認可プロセスを経る必要があり、もう少し時間がかかるとみられます。

欧州では今年2月、アイスランドで初の培養肉試食イベントが開催されました。オーストラリア企業のVowが開発した培養ウズラを使った料理が披露され、現アイスランド首相のKatrín Jakobsdóttirも試食。

「培養肉は気候変動問題に対する解決策の一つとなる。アイスランド当局は、この解決策の採用に向け道を切り開く決意を固めており、またEUにおける培養肉規制の枠組みが構築されることを切望している」とコメントしていました。

参考記事:
Meatable Slashes Production Time for Cultivated Pork: Cell to Sausage in Four Days
Ahead of Singapore Launch, Meatable Can Now Make Cultivated Meat Quicker Than Anyone Else

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