AQUA Cultured Foodsの代替シーフードが米国で販売認可を取得、来月にもレストラン向けに発売へ
バイオマス発酵と伝統発酵により代替シーフードを開発する米国企業AQUA Cultured Foodsが、GRAS自己認証の取得により米国内での販売が可能になったと発表しました。
来月、拠点を置くシカゴ都市部の高級レストラン向けに、最初の製品を発売します。
ハイエンド市場をターゲットに製品展開へ
GRAS自己認証とは、第三者機関による安全性評価を基に、企業自身が自社製品の初期判定を行うもの。米国食品医薬品局(FDA)の要求事項を満たしていると判断できれば、その時点で販売が可能です。
AQUA Cultured Foodsはマグロとホタテでこの認証を取得し、米国内での市販化を可能にしました。寿司やマリネなど、生で食べられる料理に最適化しており、ハイエンド市場をターゲットにしています。
いずれの製品でも、植物性食品をはじめとした代替品の普及を妨げている、長い成分リストと高い価格という問題を解決。消費者が重視するクリーンラベルに加え、従来のシーフードと同等以下の卸値を実現しているといいます。
なお、FDAに自己認証を通知しさらなる審査を受けることにより正式なGRASステータスが取得できますが、AQUA Cultured Foodsは今のところFDAへの通知は予定していません。
低コストの生産手法を構築
AQUA Cultured Foodsの低コスト生産工程では、まず微生物に栄養豊富な液体を与え、環境を制御したバイオリアクター内で一次発酵を開始。続いて、垂直農業のように積み上げたトレイで二次発酵させ、セルロース繊維をホールカットのフィレへと成長させていきます。
望みの厚さになったフィレは低温殺菌し、植物由来の香料や色素と混ぜ合わせることで生のマグロやホタテを再現。
ビール醸造や垂直農業で使われる装置をそのまま活用することで、高価な特殊設備や複数の処理工程を必要としません。
同社は昨年、シカゴにある5,000平方フィート(約460平方メートル)の食品製造施設をパイロットプラント用に取得し、5,000ポンド(約2,300kg)の生産体制を構築しました。
さらなる生産最適化のため、今年3月には合成生物学企業のGinkgo Bioworksと提携。高度な分析技術で菌株を調整・最適化し、大規模生産において安定した高品質を実現させるとしています。
共同創業者でCEOを務めるBrittany Chibeによると、70%が輸入品である米国の海産物は供給が安定せず、品質もまちまち。一方で、海とは完全に切り離されたサプライチェーンで地元産の食材を供給できることが同社の強みとなっています。
消費者ニーズに応えるクリーンラベル製品戦略
原料大手のIngredionとClear Seas Researchが実施した独自調査によると、欧州メーカーの99%が、クリーンラベル製品を単なる強みの一つとしてではなく、事業戦略の要と考えているとのこと。
2021年に製品ポートフォリオの52%を占めていたクリーンラベル製品は、今後2年間で70%まで上昇すると予想されています。
AQUA Cultured Foodsの代替シーフードはその典型的な例といえ、同社のホタテの原料は、セルロース、水、難消化性デキストリン、塩、天然香料の5つのみ。
ヴィーガンマグロは、そこにリン酸三ナトリウム(水分と風味の保持を助ける)、乳酸(天然の保存料)、乳酸カルシウム(安定性と堅さを保ち、カルシウムを加える)、エンドウ豆タンパク質、そして濃い赤色を発するビーツ由来の色素を加えた製法となっています。
また、6週間という長い賞味期限で利便性を高めるとともに、フードロス削減にも寄与します。
参考記事:
AQUA Cultured Foods ウェブサイト
Exclusive: Aqua Cultured Foods Earns US Regulatory Approval for Fish-Free Fermentation-Based Seafood
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