分子農業を手掛けるPoLoPo、温室から圃場栽培への移行で生産能力を3トンに増強

イスラエルの分子農業スタートアップPoLoPoが、卵白タンパク質を生産する遺伝子組み換えジャガイモの温室栽培から、圃場(畑)での大規模栽培に移行したと発表しました。

これにより、1回の収穫につき数十kgから、推定3トンにまで生産能力が増加しています。

地元農家の協力も得てスケールアップに成功


PoLoPoは分子農業のアプローチで、特定のタンパク質を生産するようジャガイモの遺伝子を操作。植物の成長の過程で作り出され、塊茎中に貯えられたタンパク質を抽出・乾燥させて、さまざまな食品用途に使用できる機能性タンパク質パウダーに加工します。

以前は温室栽培で少量しか生産できなかったこのジャガイモですが、大幅なスケールアップに成功。現在、イスラエル南部の畑で露地栽培を行っており、2025年春までに3トンの収穫が見込まれています。

この屋外試験生産で同社は、温室条件下で良好な結果を示したジャガイモ品種の栽培を拡大すること、品種の一貫性と品質を検証すること、そしてタンパク質の収率を改善する新たな遺伝子型をテストすることを目標に設定。

大規模農業の専門知識を活用するべく、ジャガイモやニンジンなどの農作物を育てる地元の経験豊富な生産者とも提携しました。

米国での承認も間近に迫る


PoLoPoは独自の「SuperAA」プラットフォームにより、オボアルブミン(卵白の54%を構成するタンパク質)とパタチン(ジャガイモに本来含まれる天然タンパク質)という、2種類の主要タンパク質を生産しています。

オボアルブミンは、従来の卵タンパク質のコスト効率に優れた代替品として機能し、鳥インフルエンザの流行、卵の価格高騰、サプライチェーンの課題が招いた現在の状況に対する、タイムリーな解決策となり得るもの。

供給不安に伴い代替品への注目度が高まる中、今年10月には、世界的な食品素材技術企業CSM Ingredientsとの提携が実現しました。両社はこの協働で、ベーキング用途の卵白タンパク質パウダーの開発を目指しています。

一方のパタチンは、アレルゲン性が低いという特性を持ち、植物性食品や飲料、スポーツ栄養や栄養補助食品まで、汎用性高く活用できる原料となります。

PoLoPoは、米国で規制を管轄する米国農務省(USDA)への申請を行っており、数週間以内に認可を受けられる見込み。この認可が得られれば、米国のパートナー企業や生産者が、国内でPoLoPoの遺伝子組み換えジャガイモの栽培を行えるようになります。

参考記事:PoLoPo Moves to Field Cultivation of Bioengineered Protein Potatoes, Boosting Capacity to Three Tons

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