イスラエルの規制当局が、代替プロテイン製品の認可申請ガイドラインを策定
イスラエル保健省の食品リスク管理局(Food Risk Management Department:以下、FRMD)が先月、代替プロテイン製品の規制認可申請を行う企業向けに、審査プロセスを明確化することを目的とした詳細なガイドラインを策定しました。
認可プロセスの透明性を高める施策
先月発表された新たな文書は、細胞培養や精密発酵により作られる代替プロテイン製品を「新規食品(Novel Food)」として登録するために必要な、必須要件や各種試験のリストを初めて示したもの。
2年間にわたる規制のサンドボックス(新技術を実証するため、現行規制が適用されない例外を設ける制度)プロジェクトで得られた知見を盛り込み、最高レベルの安全性と品質基準を維持しながらイノベーションを支援するという、政府のコミットメントを反映したものとなりました。
新規食品の登録申請は、ウェブサイトの指定フォームから、ヘブライ語または英語で実施可能。申請書の記載事項に加えて、食品および生産工程の安全性評価の基礎となる詳細な資料を添付することが要求されます。
審査期間は最長6〜12カ月
申請された食品とその生産工程の安全性評価には、原材料の評価に始まり、生産工程の再現性、食品の組成、予想される摂取量、食品の消費方法、アレルゲン性、潜在的な汚染物質などに関するさまざまな側面からの審査が含まれます。
ガイドラインは、安全性資料に含める内容として、細胞株の起源や特性、原材料と加工助剤(培地や足場)、生産プロセス、最終製品の仕様といった詳細な要求事項を列挙。
また、生産現場に応じたGMP要求事項に準拠することや、HACCPに基づく重要管理点(CCP)の設定も必要とのことです。
提出された書類は、FRMDおよび保健省の新規食品委員会(Novel Food Committee:NFC)により審査されます。FRMDの助言を受けたNFCにより最終的な結論が出され、FRMDから回答書が直接申請者に送られます。
所定の手続きに則り完全な安全性資料が提出された時点から、回答書の送付までにかかる期間は、すでに2つの外国規制当局から承認されている食品の場合は最長6カ月、そうでない食品の場合は最長12カ月とされています。
培養肉を認可した3番目の国家に
FRMDの局長を務めるZiva Hamamaは、『Globes』誌の取材に対し、2020年の終わりごろから新しい原料や手法で食品を作る企業が出現し、「食の世界を根本的に変える何かが起きていることに気付いた」と語っています。
従来とは異なるアプローチが必要とされていることを感じたチームは、新技術をテストする目的で規制のサンドボックスを創設。そして2024年1月、イスラエル保健省は、同国企業Aleph Farmsの製品に対して、培養牛肉では世界初となる安全性認可を出しました。
同省からのラベル表示とマーケティングに関する具体的な指示、およびパイロットプラントのGMP検査の完了を条件として、イスラエルにおける製品の生産・販売が認められています。
精密発酵の分野では、RemilkとImagindairy(いずれもイスラエル企業)が、アニマルフリーの乳清タンパク質(β-ラクトグロブリン)の販売認可を得ています。
いずれの企業も製品を世に送り出すまでには至っていないものの、生産規模の拡大に注力している最中。他企業とのパートナーシップ構築なども積極的に行い、市場化に向けた道のりを歩んでいます。
参考記事:
Ziva Hamama | LinkedIn
Novel Food in Israel Ministry of Health
Regulator approves alternative proteins, but you can’t try them yet – Globes
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