イスラエルのRemilk、カナダでアニマルフリー乳タンパク質の販売認可を取得

イスラエルの精密発酵企業Remilkの開発するアニマルフリー乳タンパク質が、カナダ保健省(Health Canada)からの「異議なしレター(Letter of No Objection)」を取得

カナダ国内での利用と販売を認められ、Remilkは同国で精密発酵乳タンパク質について認可を受けた初の企業となりました。

カナダでは、Impossible Foodsが植物性代替肉の風味向上に用いている大豆レグヘモグロビンですでに精密発酵製品としての認可を受けており、今後より多くの企業に市場化への道が開かれるかもしれません。

4カ国目の販売認可を取得


カナダ保健省からの認可は、Remilkにとって重要なマイルストーンであり、新規タンパク質原料のサプライヤーとして新たな市場を開くものとなります。

Perfect DayImagindairyなどの同業他社と同じく、Remilkが開発するのは、牛乳に含まれる主要なタンパク質であるβ-ラクトグロブリン

昨年2月には、米国食品医薬品局(FDA)シンガポール食品庁(SFA)から同様の認可を取得。その直後に、イスラエルでも精密発酵企業として初の認可を受けています。

米国での認可取得後、同社のタンパク質はゼネラル・ミルズが展開する「Bold Cultr」ブランドのクリームチーズ製品に採用され、初の製品化が決定。しかし、その発売直後にブランド自体の廃止が決定されてしまいました。

今のところその他の製品化例は見当たりませんが、共同創業者でCEOのAviv Wolffによると、イスラエル国内の大手食品企業と提携し、消費者に製品を提供する準備が整っているとのことです。

環境・健康面でより優れた乳タンパク質に


2019年創業のRemilkは、牛を1頭も使わずに生物学的に同一の乳清(ホエイ)タンパク質を生産できる精密発酵プラットフォームに対して、これまでに1億3,000万ドル(約192億円)を超える資金を確保。

世界各地に委託製造業者のネットワークを構築し、従来の乳製品よりも水や土地の利用が少なく、温室効果ガスの排出量も少ないとされる発酵プロセスを通じて、持続可能な代替プロテインの大規模生産を可能にしています。

こうして生産された乳タンパク質は、乳糖、コレステロール、ホルモン、抗生物質を含まないという健康上の利点も魅力です。

国家戦略として代替プロテイン開発を後押し


イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は昨年、食料安全保障と経済を強化することを目指し、代替プロテインの開発を国家目標として優先させると述べました。

Startup Nation Centralの統計では、同国には持続可能な食品の技術開発を専門とするスタートアップ企業が250以上も存在しているといいます。

培養肉開発などの細胞農業や精密発酵を手掛ける企業も多数確認されており、Aleph Farmsは今年に入って、培養牛肉で初の安全性認可を取得したと発表。近く外食産業での発売も期待されています。

参考記事:
Remilk Receives No Objections Letter for Sale of Animal-Free Milk Protein, Heralding “New-Dairy Revolution” in Canada
Remilk’s eco-friendly vegan milk hits Canadian market

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