イスラエル発、ひよこ豆由来のプロテインが持つ機能性とは?代替チーズなどへの活用が期待

ひよこ豆を用いたプロテインパウダーや代替チーズ製品を開発する、イスラエル発のスタートアップ、ChickP

原料となる植物からタンパク質(プロテイン)のみを分離・抽出して得られる植物性プロテインですが、同社のプロテインパウダーでは、独自の特許製法により90%の高いタンパク質含有率を実現しています。

2021年には、北米市場への拡大に向けて、本格的なひよこ豆タンパク質分離物の生産開始を発表。動物性プロテインを置き換える新たな選択肢になるのではと期待されています。CEOを務めるLiat Lachish Levyが、その機能性について語っています。

隠れた機能性食材、ひよこ豆


カレーやサラダの具材として、近年は日本の家庭でも用いられる食材となっているひよこ豆ですが、主な栽培地は中東、北アフリカ、インド。古代エジプトやローマ帝国の時代から栽培が盛んで、とりわけインドの食文化において重要な食物となっています。

米国で人気の中東料理フムスや、エジプトの国民食ファラフェル(左写真)が有名なほか、北アフリカではクスクスの具としても一般的。葉酸やビタミンB6の含有量は大豆よりも多く、健康志向の人々にも好まれる食材です。

製法上の難題を乗り越えて


植物性チーズとしては、大豆をベースにココナッツオイルやポテトスターチを添加して作られたものが主流ですが、その開発において大切なのが、「限られた素材でいかに動物性チーズの見た目や味を再現するか」ということ。

従来、チーズ特有の伸びたりとろけたりする性質を再現するには、カラギナンやキサンタンガム、グアーガムといった「増粘安定剤」と呼ばれる添加物が使われてきました。しかし、優れたゲル化・乳化特性を持つひよこ豆を使用することで、増粘安定剤を使わず再現性を高めることが可能に。ChickPのひよこ豆タンパク質を原料に使えば、クリームチーズでもハードチーズでも、限りなく動物性チーズに近いものを作れるといいます。

さらに、同社のクリームチーズでは乳酸菌による発酵を活用。植物性チーズでは発酵プロセスを経ないのが通常ですが、発酵させることで得られるプロバイオティクスが、機能性の強化に一役買っています。

新たな植物性プロテインとして


現状、大豆やエンドウ豆が大半を占めている植物性プロテイン市場ですが、ChickPではひよこ豆も十分にシェアを拡大できる可能性があるとみています。

ひよこ豆に含まれる必須アミノ酸は9種類と、栄養価が高いのも特徴。余分な添加物が要らず、クリーンラベル製品としてより信頼度の高いものとなります。増粘安定剤や香料などの使用が少ないほど、消費者にとっては安心して手に取りやすく、動物由来製品からのシフトを加速させるかもしれません。

近年、投資の減少や売上の伸び悩みが囁かれるものの、全体としてはまだまだ成長の余地を残している植物性プロテイン市場。革新的なソリューションにより、新たな投資の呼び水となれるかが注目されます。

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