米Helaina、精密発酵によるラクトフェリン生産をスケールアップ

精密発酵の技術で乳児用粉ミルクの分野に革命を起こしている、ニューヨークを拠点とするバイオテクノロジー企業のHelaina。自社開発した精密発酵ラクトフェリンの商用化に向けて、本格的な準備段階に入ったことを発表しました。

粉ミルクと母乳とのギャップを解消


現在市販されている多くの粉ミルクは、成長に必要なカロリーを摂取することはできても、母乳のような栄養価はいまだ不足していると考えられています。中でも母乳(特に初乳)に多く含まれるタンパク質「ラクトフェリン」は、熱に弱いため抽出が難しく、粉ミルクへの配合が難しい成分となっていました。

従来は牛乳などから少量を抽出し使用されていましたが、Helainaでは、発酵を利用して母乳の糖タンパク質を再現することで、アニマルフリーのラクトフェリンを生産。粉ミルクと母乳とのギャップを埋め、粉ミルクで育てた乳児の健康状態を改善させることを目指しています。

精密発酵ラクトフェリン


Helainaによると、粉ミルクの主成分の一つであるラクトフェリンは、同社の精密発酵プラットフォームで生み出される一連の生理活性タンパク質の中でも最初のもの。外部の製造業者と連携すれば、栄養吸収の促進認知機能のサポート感染防御などの機能性が知られている母乳タンパク質を大量生産することができるとしています。

Helainaは2019年創業と若い企業ながら、2021年にはシリーズAラウンドで2,000万ドル(その後、2023年5月現在までに2,500万ドル以上)を調達

2022年には、世界的な粉ミルクの不足により、米国内で粉ミルクを製造する全施設に対して販売可能な製品を製造することが義務付けられ、一旦は研究開発の中断を余儀なくされるものの、今月に入って、粉ミルク75,000本分のラクトフェリン生産というマイルストーンを達成。無事、精密発酵ラクトフェリンの大規模な商用化の準備に入ったことを発表しました。

機能性食品を再定義


乳児のみならず、幅広い年代にとって重要なラクトフェリン。今回の量産成功により、Helainaは研究開発から大規模な商業化と市場投入に向けて動き出しています。

今後は、乳児にとどまらず、ライフサイクルのあらゆる段階に対応した機能性食品の開発に注力する方針を打ち出しており、免疫機能を強化する食品などへの応用が期待されます。

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