米Beyond Meat、投資家から誤解を受けたとして提訴される
植物性代替肉を手掛ける米Beyond Meatが今月、生産能力と成長の見通しについて誤解を招いたとして、投資家から訴えられる出来事がありました。
証券集団訴訟を提起したのは、Retail Wholesale Department Store Union Local 338 Retirement Fund。Beyond Meatと現CEOのEthan Brownに加え、同社の元役員数名が、「重大な虚偽・誤解を招く発言や不十分な説明により市場を欺き、同社の株価を人為的につり上げた」と主張しています。
株価には大きな波が
Beyond MeatがIPOにより株式市場にデビューしたのは、2019年5月。上場時の株価は25ドルで、2019年7月末には234.9ドルでピークを迎えました。しかし、植物性代替肉の小売消費が後退し始めた2021年後半から下落傾向に転じ、2023年5月25日現在では11ドル前後で取引されています。Beyond Meatは、訴訟に関するコメントには応じていません。
今回の集団訴訟では、株価が100.50ドルだった2020年5月5日から、14.11ドルだった2022年10月12日の間に同社株式を保有していた投資家が、誤解を受けた対象となっています。
Beyond Meatは、マクドナルド、スターバックス、KFC、ピザハット、タコベルなど著名なQSR(クイックサービスレストラン)チェーンとの製品テストが成功したと喧伝し、投資家やパートナーに対して、「商業規模での生産が可能」だと断言していたとのこと。
売上減少と雇用削減
上記QSRとのパートナーシップ目標達成に遅れが出たことは、新型コロナ禍の初期に見られた消費者パターンの変化によるもの、と訴状では述べられています。
しかし、2021年10月22日、同社が純利益の見通しを最大3,400万ドル(25%)引き下げたことで、「真実が明らかになり始めた」といいます。数週間後の四半期決算報告では、売上減少や売れ残り在庫の詳細が共有されました。これを受け、同社の株価は20%近く下落しました。
その1週間後、ブルームバーグが、「Beyond Chicken」の再発売など、生産面の課題について考察した記事を掲載。2021年12月には、タコベルでの植物性代替肉の試験中止に関する報道もあり、これらの記事も株価下落の原因になったと訴状では主張されています。
昨年には、マクドナルドがBeyond Meatのパティを採用したMcPlant burgerの試験販売を終了し、それに続く200人規模の雇用削減により、株価はさらに押し下げられました。
Beyond MeatでCFOなどを務め、2021年5月に同社を離れたものの、今月までコンサルタント契約を結んでいたMark Nelsonは、この間に44万株を売却し、5,830万ドル以上の利益を得たと訴状では指摘されています。
原告のRetirement Fundがどの程度の株式を保有していたのか、また現在も株式を保有しているのかについては明らかにされていませんが、被った損失に対する適切な損害賠償を求めているとのことです。
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