英・ノッティンガム大学の研究から生まれたPluriCells、培養肉セクター向けにウシやブタの細胞株を発売
英国のバイオテクノロジー企業PluriCellsが先月、培養肉セクター向けにウシ、ブタ、ヒツジの胚性幹細胞(ES細胞)株の販売を開始したと発表しました。
成体幹細胞の課題を解決
GFI APACの最新レポートによると、培養肉生産者はさまざまな種類の細胞を使用していますが、現在最も多く使用されているのが成体幹細胞。体内で失われた細胞を作り出して補充する役割を持った幹細胞の一種で、ある程度分化できる組織が決まっている細胞です。
成体幹細胞が使われる理由について、同レポートでは「陸上種では、胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)の調達や培養に課題があることが一因となっているようだ」と指摘しています。
しかしながら、成体幹細胞の複製回数には限界があるため、大規模かつ精密さが求められる製造においては問題が生じる可能性がありました。
培養肉生産の効率性・一貫性を向上
PluriCellsによると、今回発売したウシ、ブタ、ヒツジの細胞株はいずれも事実上無限に増殖でき、200回以上の複製でも安定性を証明済み。食品規格で開発されたため、遺伝子組み換えも行われていません。
同社が独自に開発したプロセスは、『Pluripotent stem cells related to embryonic disc exhibit common self-renewal requirements in diverse livestock species』という査読付き論文の中でも示されています。
開発を主導したノッティンガム大学教授のRamiro Alberioは、「細胞農業は、消費者が食肉を消費する際の新たな選択肢を提供できる一方で、まだスケーラビリティや低コスト化の目標を達成できていない。当社の細胞株により、培養肉生産の効率性と一貫性を向上させ、生産のスケールアップをサポートしたい」と述べました。
この細胞株は、英・ノッティンガム大学の研究・商用ライセンスのもと入手可能であり、正式な発売に先立って、英国・EU・アジア太平洋地域・米国のいくつかの培養肉メーカーに試験的に供給されています。
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