培養シーフードを手掛ける米BlueNaluが、シリーズBラウンドで50億円超を調達

米国の培養シーフードメーカーBlueNaluが、シリーズBラウンドで3,350万ドル(約50億2,000万円)の資金調達を行ったと発表しました。商品化に向け、アジア太平洋地域の水産業界におけるリーダー企業とのパートナーシップを拡大しています。

2026年に大規模工場の着工を予定


BlueNaluは今回の資金調達により、生産規模拡大とクロマグロの商品化を進める計画。同社は2021年、6,000万ドル(約89億9,000万円)という記録的な額の調達に成功していました。

シリーズBラウンドでは、ベンチャーキャピタルのAgronomicsも出資。Mosa MeatMeatableThe EVERY CompanyFormoなど多数の細胞農業企業に投資する同社は、BlueNaluにも累計800万ドル(約12億円)を出資し、5%超の株式を保有しています。

BlueNaluは現在、米・カリフォルニア州に38,000平方フィート(約3,500平方メートル)のパイロットプラントを稼働。2026年には、14万平方フィート(約13,000平方メートル)の敷地面積に10万リットルのバイオリアクターを複数基設置した大規模工場の建設を開始し、その18カ月後に生産を開始する計画です。

稼働すれば600万ポンド(約2,700トン)の生産能力となる予定で、綿密な技術経済性分析(TEA)*1 を行った結果、稼動初年度に75%の粗利率を確保できるとの見通しを示しています。クロマグロのトロは供給量の少ない高価格品のため、やや割高な代替品でも食肉のようなコスト差は生じないとみられます。

アジア太平洋地域のリーダー企業と提携


BlueNaluが商品化を目指すクロマグロの脂身部分であるトロは、品質や味のばらつきが大きいという問題に加え、乱獲や違法な漁業による資源の急減に直面。国連食糧農業機関(FAO)では、2030年までに水産物生産が2,800万トン増加する必要があるとサプライチェーンのギャップを予測しており、代替品の開発が待たれる状況です。

2017年設立の同社は、クロマグロ以外への製品拡大も視野に、これまでに8種類の魚種で数百の細胞株を開発。当初は、2021年後半に米国の外食産業への培養マグロ導入を狙うと同時に、冷凍食品大手のNomad Foodsとの提携を通じて欧州での販売機会を模索してきました。

しかしながら、世界のクロマグロ消費量の80%以上をアジアが占めていることから、現在はアジア太平洋地域に注力。アジアの水産大手Pulmuone(韓国)、三菱商事(日本)、Thai Union(タイ)と昨年締結した戦略的パートナーシップを拡大しており、日本最大の寿司チェーン「スシロー」を展開する株式会社FOOD & LIFE COMPANIESとも提携しています。

*1 技術開発において、その技術が組み込まれたシステム全体の経済性を評価すること。事業期間を通した収益と費用の見積もり、評価における感度解析などを行う。

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。