代替肉に「焼き色」をつける新原料など、オーストラリアの展示会で披露

豪州・シドニーで先月開かれたテックカンファレンスSXSW Sydneyにて、オーストラリアのv2foodNourish Ingredientsが、それぞれ植物性代替肉の見た目と食感を改善する新たなソリューションを発表しました。

代替肉に「焼き色」をつける天然成分


味の良し悪しと健康効果が以前にも増して重要視されるようになっている代替肉ですが、オーストラリアの植物性代替肉最大手v2foodが開発した「RepliHue」は、代替肉を加熱調理した際に色味を付加するもの。

同社によると、現在の植物性代替肉では調理の前後で色が変化しないのが通常ですが、これを動物由来の肉と同じ時間と温度で、生の赤味を帯びた色から褐色がかった灰色へと変化させられるといいます。

この技術により、米Impossible Foodsが「ヘム」という成分を用いて実現したものと同等の効果が得られます。植物性代替肉のパイオニアである同社は、ヘムが動物肉に特有の風味や食感を生み出していることを突き止め、遺伝子組み換えした酵母を用いる精密発酵によりヘムを生産。

同社のImpossible Burgerは、パティから滴る肉汁まで再現していることで知られ、代替肉の中で最も本物に近いともいわれています。

v2foodのRepliHueは、精密発酵による生産ではなく、紅藻などの植物から自然に抽出されたもの。同社によると、紅藻類はCO₂を消費し、光をエネルギーとして利用するため、持続可能な生産が可能。これを用いた植物性代替肉を調理することで本格的な体験を生み出せる、画期的な原料となっています。

また、RepliHueは色味の変化にとどまらず、消費者が代替肉に求める優先事項として頻繁に挙げられる、味と食感の改善も期待されるとのこと。2024年までに牛肉・豚肉・鶏肉に使用可能な製品の小売り販売開始を目指しています。

調理特性の変わらない代替脂肪


SXSWではまた、同じオーストラリアのNourish Ingredientsが代替脂肪製品「Tastilux」を発表。

3年以上にわたる研究と精密発酵の技術を用いて開発された同製品は、従来の食肉に含まれる脂と同じ味・香りをもたらし、調理した際に同じ反応を示すといいます。

同社は展示会にて、カルシウムから作られた食べられる骨を持つヴィーガンチキンウイングに、同製品を使用。CEOのJames Petrieは、「多くの代替脂肪は、調理された肉の豊かで本格的な風味を再現することができていない。そこで、未調理の状態の動物性脂肪を分析し、自然界に存在する代替物質を特定した」と説明しています。

精密発酵によって生産される脂肪は、オーストラリアの法律でも「新規食品」に分類され、規制当局の承認が必要なため、このプロセスにも積極的に取り組んでいるとのこと。同社も2024年の市販化を目指し、すでに複数企業との提携を実施している様子です。

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