米Yali Bioがフードテックイベントで精密発酵による代替脂肪を披露

米・カリフォルニアに拠点を置くYali Bioが、サンフランシスコで開催された「MISTA Growth Hack」イベントにて、精密発酵により生産した代替脂肪を発表しました。将来的に植物性食品メーカーへのB2B供給を行う計画です。

食のイノベーションプラットフォーム「MISTA」に参加


食品業界向けのイノベーションプラットフォーム「MISTA」は、スイスの香料大手ジボダンが中心となり、ダノンマース、原料大手のIngredionが共同で2019年に立ち上げ。

「世界のフードシステムに変革をもたらし、将来的なニーズを満たす」ことを目的に、スタートアップ企業との連携を進めています。

2021年に設立されたYali Bioは、代替肉に加えてチーズ、デザート、焼き菓子などの味や食感の鍵となる、動物性・植物性の代替油脂を開発する企業。

数カ月前にMISTAに参加して、他企業との提携により代替脂肪を開発。これを用いた乳製品フリーのアイスクリームを、MISTAの開催するイベントで発表したところ、1時間足らずでなくなってしまうほどの好評となりました。

植物性食品の味と食感を改善


同社はこの脂肪を、「バターのような淡い色合いとニュートラルな風味」を持つと表現。焼き菓子作りにおいて重要な脂肪の融点といった特質も、さまざまな用途に合わせて微調整が可能で、幅広い食品の味や食感、調理性能、栄養、環境負荷を改善できるとしています。

また、代替乳製品の原料として広く使われるココナッツオイルに含まれる飽和脂肪酸は半分に抑えた一方、一価不飽和脂肪酸を5倍含んでおり、健康面でも他の植物性油脂をしのぐ利点を誇ります。

植物性食品において、味と食感の改善は極めて重要。Mintelが米国の消費者1,400人を対象に実施した最新の調査によると、植物性代替肉が避けられる最大の要因は風味(48%)でした。

同様に、米Plant Based Foods Association(植物性食品協会)が今年行った調査(米国の6,000万世帯を対象)においても、消費者が植物性食品の購入を思いとどまっている要因の第1位に、食感が挙げられています。

Yali Bioの創業者でありCEOのYulin Luは、イベントでアイスクリームが好評を博した後、「特に味と食感を多くの人が称賛してくれたことが嬉しかった」と、この点について強調していました。

昨年390万ドル(約5億7,700万円)のシード資金を調達し、総調達額が500万ドル(約7億4,000万円)に達した同社は、現在新しいラボを建設中。今後は1、2年以内に生産能力を高め、食品メーカー向けにB2B供給を行う計画です。

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