デンマークの21st.BIO、乳タンパク質生産を支援する精密発酵プラットフォームの提供を開始

デンマークの21st.BIOが、アニマルフリー乳タンパク質を大規模生産する精密発酵プラットフォームの提供開始を発表しました。

スタートアップ企業から大手企業までをターゲットに、持続可能な乳タンパク質の開発を加速させる費用対効果の高いソリューションの提供を目的としています。

事業化における「死の谷」を埋める一手に


デンマークのコペンハーゲンで2020年に設立された21st.BIOは、同じデンマーク企業のNovonesisNovozymesChr. Hansen Holdingの合併による新会社)から一部ライセンス供与を受け、大規模生産が可能な業界最先端の精密発酵プラットフォームを構築。

牛乳に含まれる主要タンパク質β-ラクトグロブリンの大規模生産にも成功している同社の技術では、植物性食品の栄養強化、代替乳製品の食感改善など、顧客の目的に合わせた最適化が可能とのこと。

生産のスケールアップや規制認可取得を支援する包括的なサービスを活用することで、メーカー側は製品開発に集中し、コストを最小限に抑えながら迅速に市場に参入できるというメリットが期待できます。

技術革新に成功し市場も存在するにもかかわらず、生産コストが高すぎて製品が主流にならないというのは、スタートアップ企業の事業化における大きな課題。21st.BIOのようなプラットフォームを提供するサービスは、この「死の谷」を克服するソリューションとなり得ます。

スパイダーシルクの生産にも着手


21st.BIOは先月、ドイツの代替素材メーカーAMSilkとの提携を発表。持続可能な新素材として期待されるスパイダーシルクの精密発酵による生産にも乗り出しました。

クモの糸のタンパク質を人工的に合成したスパイダーシルクは、ビーズ、ゲル、コーティング、バイオフィルム、テキスタイル、シューズ、バッグ、自動車部品など、無限の用途に利用できる、頑丈で柔軟な100%生分解性素材

AMSilkはこれまでに累計5,900万ユーロ(約94億6,000万円)を調達しており、メルセデス・ベンツ、オメガ、エアバスといった大手ブランドと協働して製品開発を行っています。

この提携の一環として、21st.BIOはスパイダーシルクの生産に使用できる新たな微生物株を開発しました。目的タンパク質の発現を確実にすると同時に、前例のない生産性を実現し、収率向上とコスト削減につなげる計画です。

AMSilkの最高科学責任者(CSO)を務めるGudrun Vogtentanzは、「生産量をキロ単位からトン単位に引き上げることで、当社の技術は次のレベルに到達する」と語っています。

参考記事:
AMSilk and 21st.BIO Forge Alliance to Scale Bioproduced Spider Silk Proteins “From Kilos to Tons”

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