米Superbrewed Foodが細菌バイオマスタンパク質の画期的な特許を取得

バイオマス発酵スタートアップの米Superbrewed Foodが、独自の代替プロテイン原料に係る米国特許を取得したと発表しました。2022年に取得した安全性についてのGRAS自己認証に続き、市場における競争優位性を強化しています。 

嫌気性発酵によるポストバイオティクスタンパク質 


Superbrewed Foodは、嫌気性発酵プロセスを用いた代替プロテイン原料の開発に重点を置く企業。動物の腸に生息する腸内細菌(プロバイオティクス)を発酵させ、同社が「ポストバイオティクスタンパク質」と呼ぶ原料に加工します。 

* 参考:ポストバイオティクスとは? 

この原料は9種類の必須アミノ酸をすべて含んだ完全タンパク質。その上、天然由来のビタミンやミネラルも発酵過程で自然に取り込まれるため、ほかの植物性・微生物タンパク質に比べて優れた栄養的・機能的利点をもたらすとのことです。 

また、供給先メーカーにとっての製造上の利点として、pH安定性、熱安定性、乳化活性を備えていることに加え、高濃度状態でゲル化しないのも魅力。 

この特性により、植物性、動物性を問わずすべてのタンパク質原料に共通する問題を解決し、飲料やスナック、ソース、焼き菓子など多用途に利用することができます。 

あらゆる形態の細菌バイオマスタンパク質に適用 


今回認められた特許出願(No. 2023/0320399)は「組成物(composition of matter)」に関するもので、遺伝子組み換えの有無を問わないあらゆる形態の細菌バイオマスタンパク質の生産、使用、商品化について、同社に18年間の市場独占権を付与するものです。 

細菌バイオマスは、有用な食品成分となる最低限の基準として、タンパク質含有量が60%以上であることが条件。 

また、好気性発酵、嫌気性発酵などあらゆる形態の生産方法、および砂糖、農業廃棄物、CO₂などあらゆる形態の原料(微生物に与える栄養分)が含まれます。 

Superbrewed Foodの共同創業者でCEOを務めるBryan Tracyによると、今日市場に出回っているポストバイオティクスの大部分は、微生物の構成成分が、腸の健康などを謳うサプリメントの成分として使用されているものがほとんど。 

これに対して同社のポストバイオティクスタンパク質は、構成成分ではなく、細菌そのもののバイオマスであることを強調しています。 

年内に初の製品発売を予定 


Superbrewed Foodは、2022年にGRAS自己認証を取得し安全性を確認した後、「Babybel」や「The Laughing Cow」のブランドを展開する乳製品メーカーのBel Groupとの戦略的提携により、ポストバイオティクスタンパク質を使用したチーズ製品を開発。昨年末には、ドバイで開催された国連気候サミット(COP28)にも参加していました。 

今年は商業規模での生産を強化し、北米をはじめとした世界各国への製品供給を急速に拡大させる計画。 

すでに消費者向けパッケージ製品を扱う複数の企業と提携を進めている様子で、第4四半期に米国のスポーツ栄養カテゴリーのパートナー企業の1社から、初の製品発売を予定しています。 

参考記事:
Superbrewed Food awarded patent for “breakthrough” tasty postbiotic protein

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