オランダのパイオニア企業Mosa Meatが約66億円の資金調達を実施、シンガポールでの市場化を加速

オランダの培養肉企業Mosa Meatが、応募超過となった新たな資金調達ラウンドで4,000万ユーロ(約66億円)の調達を行ったと発表。これにより、同社の累計調達額は1億3,800万ドル(約213億円)に達しました。

既存の食肉セクターからも支援を受ける


Lowercarbon CapitalとM Venturesがリードインベスターを務めた同ラウンドでは、オランダ国営のインパクト投資ファンドInvest-NL、リンブルフ州の地域開発機関LIOFなど、政府の支援を受けた新たなプレーヤーが参加。

加えて、欧州最大の養鶏業者の一つであるPHW Groupなど、既存の食肉セクターのバックグラウンドを持つ投資家からの支援も得ています。

PHW Groupは以前から培養肉セクターに関与しており、2022年には欧州市場への投入を目指してイスラエルのSuperMeatと提携。同年末、同社CEOのPeter Wesjohannは、欧州がアジアや米国に後れを取ってはならないとして、EUに培養肉の規制認可を出すよう訴えかけていました。

Green Queen』によると、今回の調達額は、2022年11月にオーストラリア企業のVowが行った4,920万ドル(約76億1,000万円)以来、培養肉企業として史上2番目の規模。ベンチャーキャピタルからの投資が78%急減した昨年には見られなかった巨額調達となりました。

Mosa MeatのCEOを務めるMaarten Boschは、「マクロ経済全体の情勢はここ2年間荒れ模様で、企業の群れは淘汰され、私たちはより戦略的に、使命の達成に集中することを余儀なくされてきた」とコメント。「このような状況の中、公的機関や従来の食肉生産者からの支援が得られたことを嬉しく思う」と語りました。

オランダでの試食会、続けてシンガポールでの認可へ


2013年、ロンドンで開かれた記者会見で培養牛肉を初披露したMosa Meat。当時、コンセプト実証用に作られたハンバーガーパティには2枚で33万ドル(約5,100万円)の費用がかかっていましたが、その後、同社はコスト削減で大きく前進。

2020年には独自の成長培地の価格を80分の1に引き下げ、翌年には生産コストを100分の1に削減しました。2023年には出資者であるNutrecoとの提携により培地成分を食品グレードのアミノ酸に置き換え、収量に影響を与えることなく、さらなるコスト削減に成功しています。

現在の正確な生産コストは不明ですが、従来の食肉と同等の価格を実現するには1ポンドあたり2.92ドル(キロ単価約1,000円)まで下げることが必要と推定されており、実現にはもうしばらくかかるとみられるものの、着実に近づいている様子です。

同社は昨年5月、7,340平方メートルの敷地面積を誇る世界最大の培養肉工場を、オランダのマーストリヒトに開設。同社にとって4番目となるこの工場には、1,000リットルのバイオリアクターを導入し、数万個の培養ハンバーグを生産できる能力を構築しています。

同社の製品は、規制当局の認可が間近に迫っているというシンガポールで最初に導入される見込み。これまで培養牛肉で認可を受けているのは、イスラエルのAleph Farms以外になく、Mosa Meatが認可を取得すれば2社目となります。

また、オランダがEU諸国で初めて培養肉の試食を許可したことを受け、国内で培養牛肉の試食イベントを開催する計画。先日のMeatableに続く開催に向け、承認待ちの段階です。

参考記事:
Mosa Meat Raises €40M From Investors Including Poultry Producer PHW Group
Mosa Meat Secures €40M in Funding to Expand Production and Speed Up Launch of Cultivated Meat

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