世界初、GOOD MeatがシンガポールのHuber’s Butcheryで培養肉の小売り販売を開始

米Eat Justの子会社で培養肉開発を行うGOOD Meatが、シンガポールの高級食肉専門店Huber’s Butcheryの冷凍コーナーで、新商品「GOOD Meat 3」の小売り販売を開始すると発表。

2020年末の認可以来初めて、消費者が培養肉を購入し、家庭で調理することが可能になりました。

植物性タンパク質の配合を増やし、低価格を実現

「GOOD Meat 3」は、培養鶏肉を3％のみ使用したハイブリッド製品で、美味しさや食感の面で従来の鶏肉と同じ食体験を提供するものとされています。本日16日より、2024年を通して販売され、価格は120g入りで7.20シンガポール・ドル（約830円）。

栄養面でも100gあたりタンパク質28.6g、脂質5.75g（うち飽和脂肪酸1.9g）、コレステロール5.7mg、食物繊維2.2gと、従来の鶏肉と同等以上となっています。

これまでGOOD Meatの製品は培養成分が60〜70％を占めていましたが、新製品ではごく一部の使用にとどめ、残りは小麦と大豆のタンパク質、ひまわり油、ココナッツオイル、天然香料、加工デンプン、大豆レシチンで構成し、オリーブオイルと塩こしょうで味付け。

植物性タンパク質の配合を多くすることで、業界全体の課題である手頃な価格の製品を実現しました。

代替プロテイン業界のシンクタンクGFI APACのRyan Hulingも、培養肉の規模拡大や従来品と同等価格の実現に向けた途中段階として、このハイブリッド製品を展開するステップは重要と捉えています。

GOOD Meatのアナウンスを受けHulingは、「このような実地調査を行うのに、シンガポールほど適した市場は見当たらない。多民族国家として有名で豊かな食文化を持つシンガポールは、すでに従来の食品分野においても、市場テストや研究開発の中心地となっている」とコメントしました。

同製品は、世界で初めて培養肉生産で規制当局の認可を取得したシンガポールの受託製造業者Esco Asterで生産され、Nurasaが先日オープンしたFood Tech Innovation Centreでの押出成形工程を経て完成します。

Huber’s Butcheryの役員を務めるAndre Huberは、「この製品を自分の好きなように調理し、家庭料理にどう合わせるかを体験してもらいたい。顧客からのフィードバックを得たら、GOOD Meatと協力して製品の継続的な改善に努める」と述べました。

Eat JustのCEOを務めるJosh Tetrickは、「これまでシンガポールだけで2,000食以上を販売してきたが、GOOD Meat 3の導入により、今年はそれを超える販売数になるだろう」とコメント。

収益の99.9％を植物性代替卵「JUST Egg」から得てきた同社ですが、2024年に損益分岐点に達することを目標に掲げており、シンガポールでの新製品発売がその一助となれるか注目です。

GOOD Meatはこれまで培養肉を販売する唯一の企業として、シンガポールの高級レストラン、フードデリバリーアプリ（Foodpanda）、屋台などで数量限定での発売を重ねてきました。

2023年には、Huber’s Butcheryの店舗に併設されたレストラン「Huber’s Bistro」で一年を通して取り扱われ、シンガポール国内で生産した培養鶏肉を消費者向けに提供しています。

Huber’s Bistroのディナー客を対象とした調査では、回答者はもう一度食べたいという強い意欲を示しており（1〜5のスコアで平均4.41点）、美味しさも同4.21点の評価。培養鶏肉を買って食べることで、人々の受容度が有意に高まったことが示されました。

シンガポール食品庁（SFA）は先月、オーストラリアのVowに培養ウズラの販売を許可しており、ハイエンド向けのレストラン数店で限定提供が始まっています。今回の発売により、国内で2種類の培養肉が販売されることとなりました。

そのほか、フランスのVital Meatが昨年末にSFAへの申請を提出済み。オランダ企業のMeatableも外食産業向けに培養豚肉の発売を計画しており、年内の認可取得を見込んでいます。

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