ドイツの食品機器大手GEA、米国で代替プロテインの生産能力強化に向けた新施設を着工

食品・飲料メーカーを中心とする各業界向けに加工機器を製造・販売する多国籍企業のGEAが、米国・ウィスコンシン州に新たなテクノロジーセンターの建設を開始したと発表しました。

2025年開設予定のこのセンターでは、従来の動物由来食品に代わる代替プロテインの開発に焦点を当て、植物ベース、細胞(培養)ベース、および発酵ベース食品の生産能力強化を図ります。

商業生産への移行を支援


同施設は、ラボスケールから本格的な商業生産への移行の橋渡しをすることを目的に、細胞培養と精密発酵が行えるパイロット生産ラインを備える計画。

先週執り行われた起工式で、GEAの北米における新規食品事業責任者を務めるArpad Csayは、「このテクノロジーセンターは、技術的・商業的な実行可能性を確保するプロセスを開発し、リスクを軽減するためのプラットフォームをフードテック企業に提供するものだ。スタートアップ企業の先行投資を最小限に抑えた事業戦略実行を支援し、製品の開発と市場化を手助けしたい」と語りました。

広さ1,200平方メートルの新施設の特徴の一つは、GEAの2040年にネットゼロ達成という目標に沿った、持続可能性への取り組みです。同施設は化石燃料を使用せず、すべて再生可能エネルギーで運営される見込み。

ヒートポンプなどで従来の天然ガス使用を置き換えるほか、年間290MWhを発電できる地上設置型太陽光発電システムは、建物全体のエネルギー需要を最低25%上回り、余剰電力を生み出す予定です。

同社は、昨年6月にもドイツ国内で同様のセンターを開設しています。

設備面から生産効率の改善を進める


GEAは今年3月、「GEA Axenic-line」バイオリアクターと「GEA kytero」シングルユースセパレーターとで構成される、灌流プラットフォーム(培地を連続的に入れ替えながら細胞や微生物の培養を進める生産手法)を発表しました。

このシステムでは、すでに栄養が使い果たされた培地から細胞を分離し、無菌状態で「新鮮な」培地バッチを加えて再度バイオリアクターに投入。これにより、アンモニウムや乳酸塩のような成長を阻害する代謝物を培地から除去します。

同社はこのプラットフォームを用いることで、バイオリアクターのサイズ、培地消費量、そして必要スペースがそれぞれ10%削減できると推定。

新規食品の規制認可において重要な基準である、一貫した製品品質の担保が実現され、細胞培養や精密発酵による製品の生産コスト削減に大きく貢献することが可能です。

フードテック分野の教育拠点としても機能


新設されるテクノロジーセンターはまた、教育の拠点としても機能し、フードテックの未来に向けた熟練労働力の育成を目指す計画。コミュニティ・カレッジや大学との提携により、バイオプロセスや代替プロテイン生産の基礎科学などを教える試みが予定されています。

Csayはこの教育的側面について、「新しい食品の製造手法は、今後数十年のうちにますます注目されるようになるだろう。この開発には、工場のオペレーターから、生産システムを設計するバイオプロセスのエンジニア、研究開発でイノベーションを起こす科学者に至るまで、多様な専門家の育成が必要だ」と語っています。

同施設は、2025年に本格的な稼動を開始する予定です。

参考記事:
GEA to Open New Facility for Plant-Based and Cell-Cultured Food Production
GEA Unveils “Technological Milestone” for Food Biomanufacturing, Cutting Production Costs of Alt Proteins

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