シトラスファイバーは、植物性代替肉に使われるメチルセルロースの理想的な代替品 —マレーシアの研究チームが発表

マレーシア・プトラ大学からの資金提供により、植物性代替肉のつなぎ(結着剤)として各種植物由来成分の活用を検討した研究が行われました。

結論として、シトラスファイバーが従来広く使われてきたメチルセルロースのような合成原料を置き換え、理想的なクリーンラベル原料となる可能性が示されています。

3種類の繊維を用いて対照実験を実施


研究チームは、つなぎの候補として酵素処理を施したエンドウ豆シトラス、およびリンゴの繊維を用いて成形した植物性パティの、物理化学的および官能的特性を評価。

味や色合い、食感、保湿性、強度、pH、乳化安定性などの主要な属性に加え、全体的な原料としての可能性を検討しました。

実験の手法としては、つなぎにメチルセルロースを使用した通常のもの(陽性対照)、メチルセルロースや酵素処理繊維のいずれも使用していないもの(陰性対照)、酵素処理したエンドウ豆、シトラス、リンゴの繊維をそれぞれ使用したもの、計5種類のパティを試作して対照実験を実施しています。

味、食感、色合い、水分の保持


50人のパネラーによる味覚テストの結果、3種類の繊維を使ったパティはいずれも、通常のパティと同様に美味しいと評価されました。

食感については、シトラス繊維入りのパティが最もしっかりしており、市販のものに似た噛みごたえとまとまりやすさを保持していたとのこと。

色合いについては、多くのサンプルで調理後の褐変(赤味および黄色味の増加)が見られましたが、リンゴ繊維を使ったものでは本来の茶色味に影響されたためか、やや異なる色の変化が見られました。

エンドウ豆およびシトラスの繊維を使ったパティは水分含有率が高く、最も低いのはリンゴの繊維を使ったパティでした。

栄養価と調理に関する特性


どのパティもタンパク質含有量は16〜17%と同程度。シトラスおよびリンゴの繊維を使ったものは食物繊維が多く含まれていました。

脂肪含有量はどのサンプルも同程度でしたが、メチルセルロースを使用した通常のパティは、つなぎを使用しなかったパティより脂肪が少なかったとのこと。炭水化物に関しては、リンゴ繊維入りのパティと通常のパティで同等であり、ほかのサンプルに比べ含有量が多かったといいます。

一方、食品中の総ミネラル含有量を示す灰分含量では、特別なつなぎを使用しなかったパティが最も高く、エンドウ豆繊維を使用したもので最も低くなりました。

調理に関する特性として、調理ロス(調理中にパティの重量がどの程度減少するか)を調べたところ、最も水分が失われたつなぎ不使用のパティを除いては、ほとんどのサンプルで損失は最小限に抑えられていました。リンゴ繊維入りのパティは、調理中に大きさと形を保つのに最も適していたとされています。

また、微細構造を調べたところ、つなぎ不使用のパティで表面に凹凸が見られたのと対照的に、シトラス繊維入りのパティは最も均一な構造をしており、素材が良く統合されている様子を示していました。

結論 —シトラス繊維がメチルセルロースを上回る結果に


結論として、エンドウ豆、シトラス、およびリンゴの繊維は、メチルセルロースと比較して、味や食感、ジューシーさ、そして全体的な可能性においても同様のスコアを示したことから、植物性代替肉に使われてきた従来のつなぎを効果的に置き換えることができると評価されました。

その中でもシトラス繊維は、構造、食感、全体的な品質の維持において卓越した性能を示したとのこと。これまで広く使われてきたメチルセルロースを上回る、最高のつなぎになるとされています。

研究チームは今後について、「植物由来のつなぎのバリエーションを増やし、パティのほかにもさまざまな植物性代替肉における性能と官能特性を最適化する必要がある」と述べています。

参考記事:
Methylcellulose replacement with different enzymatically treated plant fibres as a binder in the production of plant-based meat patties – ScienceDirect
Study Finds Citrus Fiber Outperforms Methylcellulose in Plant-Based Meat

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