Meatlyの培養ペットフードが英国での販売認可を取得、年内の製品発売を予定

英国のMeatlyが、ペット用培養肉の生産・販売に関する規制当局の認可取得を発表しました。

用途はペットフード限定ではあるものの、欧州で培養肉への認可が下りるのは初。世界で見ても、シンガポール、米国、イスラエルに次いで4カ国目となります。

年内にもドッグフードの発売を予定


Meatlyによると、同社の培養鶏肉は広範な検査を受け、細菌、ウイルス、遺伝子組み換え作物、抗生物質、重金属その他の不純物が含まれていないことが確認されたとのこと。同社の生産施設も、培養鶏肉の生産と取り扱いに対する許可を受けました。

同社は、初の商業パートナーである植物由来のペットフードメーカーOmniとともに、培養鶏肉を用いたキャットフード缶「Omni Feast」の開発・製造に成功

これを最初の製品として検討していましたが、ここ数カ月でドッグフードへと方向転換しました。すでに複数のペットフードメーカーに向けて出荷しており、各メーカーで独自の栄養試験や処方開発* が進められているといいます。

今回の認可取得により、最初のサンプル製品が年内にも英国で発売される予定。シードラウンドで同社に投資を行った、英国のペット小売り大手Pets at Homeでいち早く販売される見込みです。

CEOのOwen Ensorは、「英国の規制当局と積極的に協力し、当社の培養肉がペットにとって安全かつ健康的であることをアピールできた」と語り、英国有数のドッグフードブランドとの提携を明かしました。

* 一般的なペットフードにおける肉の含有率は20~30%程度で、残りは植物由来の原料を用いて理想の栄養バランスに仕上げる。Meatlyは、提携するメーカー側がこの割合を決定するとしており、最終製品としては従来のペットフードと同様にハイブリッド肉となる予定。

規制面で有利とされるペットフード


Meatlyへの認可は、英国の畜産副産物(animal by-products:ヒトの食用とはならない畜肉など)に関する規則に基づき、英国食品基準庁(FSA)環境・食料・農村地域省(Defra)動植物衛生庁(APHA)の協働による認可手続きを経て付与されました。

GFI Europeによると、この認可プロセスは、ヒトの食品に適用される新規食品(Novel Food)の認可と比べると基準は緩く、申請期間も短く済むとのこと。

Meatlyは協議開始から18カ月を要した様子ですが、後に続く企業に関しては期間の短縮が見込まれます。

この規制に係る負担の少なさから、培養ペットフードは欧州において市場化で先行するとみられていました。現状ではMeatlyのほか、チェコ企業のBene Meat Technologiesが昨年末に飼料原料としての登録を完了し、EU域内で近く発売を見込んでいます。

生産コストの引き下げに注力


2022年に設立されたMeatly は、環境意識の高いペットオーナーの成長市場をターゲットに製品開発を進め、昨年のシードラウンドで360万ポンド(約7億3,200万円)を調達。

生産過程ではウシ胎児血清(FBS)などの動物由来成分はもちろん、成長因子、足場、マイクロキャリアも使用していないといいます。

今年5月には、1リットル1ポンド(約200円)以下のタンパク質を含まない培地を開発したと発表。培養肉の生産コストのうち大部分を占める培地コストを、100分の1にまで削減しました。

現在の培養鶏肉の生産コストは、キロ単価2桁ポンド(約2,000〜20,000円の範囲)とのこと。従来の食肉と同等価格の実現も遠くなく、同社は今後3年以内に商業生産の量に達するよう、生産規模を拡大することを目標としています。

参考記事:
Meatly’s Cultivated Chicken for Pets Approved for Sale in the UK, First Products to Hit Shelves This Year
UK becomes first European country to approve lab-grown meat
With UK Greenlight, Meatly’s Pet Food Becomes First Cultivated Meat to Be Approved in Europe
Pet Food Startup Meatly on Cultivated Meat: ‘Changing Food Habits Transcend Politics’

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