英Nandi Proteinsが約1億円を調達、植物性タンパク質を変性させて生産する代替卵白の開発加速へ
英国のフードテック企業Nandi Proteinsが、イノベーション支援団体Nestaやスコットランド開発公社(Scottish Enterprise)などから、コンバーティブル・ローン* の形で50万ポンド(約9,600万円)超の資金を獲得したと発表しました。
Nestaの投資部門であるNesta Impact Investmentsは、目標調達額の150万ポンド(約2億9,000万円)を達成するため、さらに100万ポンド(約1億9,300万円)の追加出資を約束しています。
* 日本の「新株予約権付社債」に近く、スタートアップ企業のシード資金調達によく活用される手法。
糖化によりタンパク質の機能性を改変
スコットランドの首都エディンバラを拠点とするNandi Proteinsは、2001年にヘリオット・ワット大学からのスピンアウト企業として設立されました。
研究開発の末、化学薬品を使用せずに、天然糖類による熱変性と糖化によってタンパク質の機能性を改変する技術を開発。このプロセスを監視・制御することで、乳化剤や結着剤、脂肪、卵白タンパク質の機能性を持った成分の設計を可能にしました。
乳清(ホエイ)タンパク質やコラーゲン、植物性タンパク質からさまざまな原料を開発しており、より健康的で栄養価の高い食品に対する需要の高まりに対応するため、加工食品の改良を模索するメーカーを支援したいとしています。
同社はまた、このプロセスは既存の設備に適用可能なことから、原料メーカーや食品メーカーへのライセンス供与も行っています。
植物性タンパク質をベースにした代替卵白
Nandi Proteinsの代替卵白は、オーツ麦、菜種、ソラマメなどの植物性タンパク質をベースに作られるもの。
グルテンフリーのベーキング用途で使われるキサンタンガムの代替による味と食感の改善、マイコプロテインベースの代替肉で使われる卵白の代替によるヴィーガン対応、植物性代替肉におけるメチルセルロースの代替などに活用されます。
鳥インフルエンザなどによるサプライチェーンの問題が続く中、植物性食品のトレンドもあり、卵を使わないソリューションを開発する企業が増加。
また、消費者からのクリーンラベル製品の需要拡大に合わせて、結着剤の代替原料についても開発が進んできました。
小麦をベースとしたタンパク質原料を発表したドイツのLoryma、酵母タンパク質を活用するオランダのRevyve、ウキクサからタンパク質を抽出する米国のPlantible Foodsなどが挙げられます。
参考記事:
Nandi Proteins ウェブサイト
Nandi Proteins Secures £500,000 for Egg White Replacer for “Undesirable Ingredients”
Frontier IP : Nesta invests in Nandi Proteins – MarketScreener
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