豪Nourish Ingredients、中国のCABIO Biotechと精密発酵脂肪の生産・販売契約を締結

オーストラリア・キャンベラに本社を置くNourish Ingredientsが、精密発酵による代替脂肪の生産・販売に向け、発酵原料などを専門とする中国企業CABIO Biotechとの提携を発表しました。

中国企業の生産能力を活用


Nourish Ingredientsは、CABIO Biotechに主力製品「Tastilux」の生産を委託し、アジア太平洋市場で販売する計画です。

Tastiluxは、遺伝子組み換えを施した微生物を用いる精密発酵により生産された代替脂肪で、代替肉の味、香り、調理体験を改善し、従来の肉に近づけるために開発されたもの。

3年にわたる研究の成果として生み出され、昨年シドニーで開催されたテックカンファレンス「SXSW」で初披露された際には、カルシウムで作られた食べられる骨を持つヴィーガンチキンウイングの原料として使われていました。

今回の提携により、武漢を拠点とするCABIO Biotechは最先端の設備と専門知識を活用し、廃棄物を最小限に抑えた効率的な方法でTastiluxを生産。Nourish Ingredientsが高い製品品質を保持して市場に参入できるよう支援します。

代替肉カテゴリー以外への拡大も


CABIO Biotechは20年以上にわたって機能性原料を供給しており、乳幼児の認知発達に寄与するとされる長鎖多価不飽和脂肪酸(LCPUFA)を生産する世界最大級の工場を所有しているほか、発酵、非溶媒抽出、精製、マイクロカプセル化などの幅広い能力を有しています。

最初の焦点は植物性代替肉に使われる代替脂肪ですが、両社はその他のカテゴリーへの拡大も示唆。調理済み食品、スナック、スパイスなどへの展開を可能性として挙げています。

Nourish Ingredientsは、中国の年間食肉消費量が1億トンに近づいており、そのうちの1%を植物由来の代替品に置き換えるだけでも100万トンの市場が生まれると指摘。

中国政府が「健康中国2030」政策の一環として、動物性食品を減らし、植物性食品を増やすよう国民に呼びかけていることからも、CABIO Biotchとの提携は中国への扉を開く重要な一歩と位置付けています。

精密発酵により作られたTastiluxは新規食品に分類されるため、中国での市場化にあたっては規制当局の承認が必須。Nourish Ingredientsはすでにシンガポールで認可申請を行っており、中国でも今後申請を進める計画です。

参考記事:
CABIO Biotech and Nourish Ingredients Announce Strategic Partnership
Nourish Ingredients and CABIO Biotech announce strategic partnership to manufacture and distribute Tastilux® – Asia Food Journal

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