米・ミシシッピ州が培養肉の禁止法を制定、フロリダ、アラバマに続き3例目に

米国南部に位置するミシシッピ州が、培養肉の生産・販売・流通を禁止する法律を制定。フロリダ州、アラバマ州に次ぎ、全米で3番目の州となりました。

上下両院を全会一致で通過


州内で培養肉を禁止するこの法案「House Bill 1006」は、共和党のBill Pigott、Lester Carpenter両下院議員が今年1月に提出したもの。1月末に下院、そして今月初めに上院を、共に全会一致で通過していました。

Tate Reeves州知事は同法案への署名を拒否しましたが、拒否権を行使しなかったため、法案は署名なしで成立することとなります。

2025年7月1日より施行される予定で、違反した場合は、500ドル(約75,000円)以下の罰金および/または3カ月以下の懲役という罰則の規定も。

新法では、ミシシッピ州の農商務省が州保健局と共に、禁止措置の実施にあたり必要な規制を設けることとされています。

これを受けて、米国のスタートアップ企業で構成される細胞農業同盟Association for Meat, Poultry and Seafood Innovation(AMPS Innovation)Suzi Gerberは、同様の法律を制定したどの州においても、培養肉はまだ販売すらされていないと指摘。この立法措置は「政治劇」の側面が非常に強く、実際的な効果はほとんどないだろうと述べました。

各州で禁止法制定の動き、否決された例も


米国では、フロリダ州が2024年5月、アラバマ州もその直後に同様の禁止法を制定。フロリダ州の立法措置に対しては当時、米国最大の業界団体である北米食肉協会(NAMI)からも非難する声が挙がっていました。

これを巡っては現在、培養肉メーカーのUPSIDE FoodsInstitute for Justiceと共同で起こした裁判で争われている最中です。UPSIDE Foods側は、フロリダ州の禁止令は合衆国憲法の2つの条項に違反していると主張。

判決が出るまで禁止令を停止するよう要請していましたが、連邦判事は昨年10月にこれを却下しました。ただ、あくまで途中経過であり、UPSIDE Foodsは上訴を予定しています。

その他の州では、ネブラスカ州とジョージア州が全面的な禁止を推進しており、今年投票が行われる予定。ただネブラスカ州では、自由市場での競争を阻害するとの懸念から、農家や牧場主の反発を招いています。ワイオミング州とサウスダコタ州ではいずれも、同様の禁止法案が2月に上院で否決されました。

また、アイオワ州、サウスカロライナ州、サウスダコタ州などは、培養肉製品に特定の表示要件を課す規則を導入しています。

投資は低迷するも、連邦レベルでの規制認可には進展


各州の禁止措置の進展以上に気がかりなのが、投資家の熱意の減退。昨年培養肉を手掛けるスタートアップ企業に投資された金額はわずか1億3,700万ドル(約205億円)にとどまり、2023年の2億2,600万ドル(約337億円)、2022年の9億2,200万ドル(約1,380億円)から大幅に減少しました。

SciFi Foodsは調達環境の悪化を理由に事業を停止し、UPSIDE Foodsは昨年に続くレイオフの実施に踏み切っていると報道されています。

また一方では、業界がこうした逆風を乗り越えつつある兆しも。Mission Barnsは今月、培養脂肪で米国食品医薬品局(FDA)からの安全性認可を取得しました。UPSIDE FoodsとGOOD Meatに続く3例目の認可を得て、販売に近づいています。

参考記事:
Mississippi Becomes Third State to Ban Lab-Grown Meat, Following Florida and Alabama
Mississippi Passes Bill Banning Lab-Grown Meat | WIRED
Federal Judge Denies Preliminary Injunction in UPSIDE Foods Lawsuit Against Florida’s Ban on Cultivated Meat – Institute for Justice

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