カリフラワーアイスクリームを展開するEatKinda、成長機会を求めニュージーランドから米国への移転を発表

カリフラワーをベースにした乳製品フリーのアイスクリームを展開するEatKindaが、米国市場に集中するため、母国ニュージーランドからの移転を発表しました。米国での発売に向けたシード資金の調達を狙い、交渉段階に入っています。

長期的な最善策として母国市場から撤退


EatKindaの製品は、Hell Pizzaの店頭では発売後4週間で完売し、スーパーマーケットWoolworthsの120店舗で販売されていました。

しかしながら、ニュージーランド国内ではそれ以上の事業拡大で困難に直面し、成長計画の妨げに。

共同創業者でCEOのMrinali Kumarは、「現在は容器に詰めるのも手作業のため、無駄が多く非効率」と現状を説明。「人口わずか500万人のニュージーランドでは、このようなニッチ製品の製造における選択肢は限られており、さらなる成長に必要な量とコストで製造することは困難だ」と述べています。

この2年間ニュージーランドの製造業は落ち込んでおり、今月になってようやく好転が見られたものの、それまでは2009年以来最長の縮小に見舞われていました。

同社はSNSでバイラルなコンテンツを発信して関心を集めてきましたが、米国人消費者の間では特に自然食品の小売りチャネルで、同社製品に対する強い需要が見られたとのこと。

先月カリフォルニアで開催された「Natural Products Expo West」でも、バイヤーや投資家、業界のリーダーから高い評価を得て、すでに米国人の嗜好にも合っていることが示されたといいます。

世界的なブランドを目指し長期的に大きなインパクトを及ぼす最善の策として、自国市場から一旦撤退し、米国市場に焦点を移すという決断に至りました。

風味を高め、アレルゲンフリーなどの市場開拓へ


EatKindaは2020年、スタートアップ関連のイベントで出会ったKumarとJenni Mathesonがカリフラワーアイスクリームという新しいコンセプトに取り組み、コンペで3位に入ったことがきっかけで設立されました。

その後2年間の研究開発を経て、カリフラワーにブドウ糖、砂糖、ココナッツオイル、エンドウ豆タンパク質を加える製法を確立。チョコレート、ストロベリー、ミントチョコのフレーバーを展開し、2023年初頭に外食市場、同年末に小売りにも進出しました。

The Good Food InstituteとSPINSのデータによると、乳製品フリーのアイスクリームは近年減退が続いており、2023年の売り上げは、2021年比で14%減となる3億5,100万ドル(約524億円)。同じ期間に、ヴィーガンアイスクリームはさらに大きく(22%)落ち込んでいます。

それでもKumarは、米国人の4人に1人が食物アレルギーを抱えている事実を引き合いに出し、「植物ベースでアレルゲンフリーの選択肢には紛れもない市場がある」と強調。アレルギー以外の理由で食生活を変えたベジタリアン、ヴィーガンも含めれば、十分な規模が見込めるとしています。

また味についても、米国人の3人に1人が味を理由に植物性食品を控えている中、「味と価格のバランスを完璧にするためにやるべきことがある」と認めつつ、「この挑戦から引き下がるつもりはない」と語っています。

参考記事:EatKinda Takes Its Cauliflower Ice Cream to the US Amid Scaling Struggles in New Zealand

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