ベルギーが食生活ガイドラインの改定を実施、赤肉や加工肉を控え週に数回豆類の摂取を推奨

ベルギーの上級保健評議会(SHC)が先月、慢性疾患の予防と長寿の実現を企図した最新版の食生活ガイドラインを含むレポートを発表しました。

食事構成に関する基本的な推奨事項に大きな変更はないようですが、いくつかの提言が追加され、特に豆類の摂取量増加を強調しているほか、超加工食品には新たな章が割かれています。

公衆衛生と環境面のメリットを強調


新たなガイドラインは、食事パターンと非感染性疾患(NCDs)および気候変動との関連性を示す、広範な科学的根拠に基づいて作成されました。

公衆衛生の観点からは、赤肉や加工肉の多量摂取は、心血管疾患、2型糖尿病、および特定の種類のがんのリスク上昇と関連があるとされている一方、植物由来のものを豊富に含む食事は、長期的に健康をサポートする食物繊維や抗酸化物質、必須微量栄養素の摂取量を増やすことが可能です。

環境の観点からは、肉類の消費量を減らすというのは、温室効果ガス排出、生物多様性の喪失、水資源の過剰使用などを抑える上で、個人レベルで最も効果的な行動の一つ。植物性タンパク質への移行は、EUがパリ協定の下で掲げている公約にダイレクトに貢献し、欧州グリーンディール* で定められた気候目標の達成を助けます。

* 欧州委員会(EC)が2019年より推進している政策で、EU全体で2050年のネットゼロ達成を目指すもの。

新版ガイドラインの推奨事項


改定後の具体的な内容としては、肉類の摂取量については従来どおりで、赤肉を週に300g(ハンバーグ2個分程度)までに制限し、加工肉はできる限り(理想的には週に30g未満)減らすよう推奨。卵の摂取量は1日1個までに制限すべきとのことです。

その一方で、全粒穀物や野菜といった植物性ホールフードの重要性が強調され、豆類を週に数回摂取するのが望ましいと規定。1日あたり全粒穀物製品を125g、果物を250g、野菜を300g以上取るよう促しています。

ガイドラインでは、バターやマーガリン、熱帯植物油、ラードなど、健康に悪い脂肪分の消費が多いことにも触れ、不飽和脂肪酸が豊富な植物油の採用を提言。また、塩を添加していないナッツを毎日、少量取ることを推奨しています。

さらに、加工食品や塩分・糖分を含む飲料の摂取を制限し、アルコールは完全に避けるよう推奨。水分補給は1日あたり1~2リットルの水が理想ですが、お茶やコーヒーも許容されるようです。

一部では、1日あたり250~500mLの牛乳または乳製品の摂取を求める規定に対して、栄養強化した植物由来製品を代替案として記載すべきとの意見も挙がっている様子。また、ガイドラインでは魚の摂取も推奨していますが、その量は週に200gで比較的少ない水準となっているという指摘もあります。

現状は目標から大きく乖離、さらなる取り組みにも期待


ベルギーの公衆衛生研究所Sciensanoによると、現状上記の推奨事項を満たしているのは、国民の中でもごく一部にとどまっているとのこと。

果物と野菜の摂取量は不足しており、成人のうち目標を達成しているのはそれぞれ10%7%に過ぎず、一方ベルギー人の91%が、深刻な健康リスクとの関連があるとされる加工肉製品や赤肉の推奨摂取量を超えています。

Sciensanoの研究者Isabelle Moyersoenは、この問題の深刻さを強調し、肉類の過剰摂取だけでなくアルコールや糖分含有飲料の多さも指摘しました。女性や高学歴層、フランドル地方の住民といった一部の層ではガイドラインへの遵守度が高い傾向が見られるといいますが、全体的な変化を促すには不十分です。

健康と持続可能性の両方に利益をもたらす植物ベースの食生活を推奨する国はここ数年で増加しており、2023年に北欧諸国の栄養ガイドライン「Nordic Nutrition Recommendations」が更新されて以降、ドイツ、オーストリア、ノルウェー、フィンランドなど多くの国が同様のガイドラインを策定してきました。

ProVeg InternationalのAnna-Lena Klappは、ベルギーの動きを「栄養と健康・持続可能性の目標を一致させるためのステップ」と評価。その上で改善の余地もあるといい、「植物性食品がガイドラインにより多く組み込まれたり、声明で支持されたりしているドイツ、オランダ、英国などと比べると、ベルギーでもさらに踏み込んだ取り組みが可能だろう」とSNSでコメントしています。

参考記事:
Belgium’s new dietary guidelines call for higher plant protein intake – European Vegetarian Union
New Belgian Dietary Guidelines Recommend Limiting Red Meat and Consuming Legumes Several Times Per Week
Nieuw voedingsadvies in België: wat leg je best op je bord? | Proveg International

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