仏ルノー、全車種の内装で動物性皮革の使用を廃止へ

フランスの自動車大手ルノーが、PETA France(動物愛護団体PETAのフランス支部)との協議を経て、年内に全車種において動物性皮革の使用を廃止することを決定しました。
環境に優しい素材の活用を進める
ルノーはこれまでにも、Renault 5 E-Tech Electric、Symbioz、Rafaleといったモデルで、埋め立てられたプラスチック廃棄物やその他のリサイクル繊維で作られたシートを採用した新型車をいくつか発表しており、環境に優しい素材の活用を推進してきました。
英国ではすでにレザー製のシートとハンドルの提供を中止していますが、今回の決定により、数カ月後には全世界の自動車ラインアップから、動物性レザーのオプションを廃止することとなります。
PETAによると、標準サイズの車の内装を覆うには、平均して牛3頭分の皮革が必要。皮革は食肉生産の副産物として出たものが利用されるケースが大半とはいえ、動物の皮をレザーに変えるには多量の化学物質(シアン化物、クロムなど)を要し、これらがなめし工場で働く労働者の健康被害や、水質汚濁を引き起こすと指摘されています。
PETA FranceのJames Fraserは、「動物の苦しみや環境汚染の重荷を背負ったまま、リラックスした贅沢な乗り心地を味わうのは不可能だ」とコメント。PETAはほかの自動車メーカーに対しても、ルノーに続きエシカルな内装を標準とするよう求めています。
広がる代替レザー採用・開発の動き
PETAは昨年、欧州を中心に動物性素材を使用しない選択肢をリストアップした「Vegan Car Interior Survey」を公表しました。それによると、アバルト、BYD、シトロエン、フィアット、ジープ、ミニ、プジョー、ボルボなどのブランドは、大半の車種で代替レザーのインテリアを提供しています。
フォルクスワーゲンは昨年、植物由来でプラスチックフリーの素材を開発するスタートアップ企業Revoltechとの協業を発表。多用途で持続可能性に優れた産業用大麻(ヘンプ)を用いたヴィーガンレザー「LOVR」の共同開発を計画しており、早ければ2028年から動物性皮革に代わって内装への使用が開始される可能性があります。
ゼネラルモーターズは、2022年からMycoWorksとの提携を進め、昨年初の実用化例として、菌糸体(キノコの根の部分)ベースの素材を取り入れたコンセプトカーを発表しました。
メルセデス・ベンツは先月Modern Meadowと提携して、レーシングカーのタイヤを再利用した代替レザーを開発しています。
参考記事:
Renault Drives Into a Leather-Free Future Following Talks with PETA France | PETA
French car giant to stop using animal leather – but which brands AREN’T appeasing the vegans
French Car Brand Renault To Go Completely Leather-Free By The End Of 2025
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