デンマークのSUMM Ingredients、植物性食品を変革する多機能発酵タンパク質の発売に向け約3億円を調達

デンマーク・コペンハーゲンのスタートアップ企業SUMM Ingredients(旧称:Nutrumami)が、多機能発酵タンパク質「FermiPro」の市場投入に向けて170万ユーロ(約2億9,500万円)の資金調達に成功しました。

間もなく製品の展開を開始予定


今回の調達には、既存投資家のKost CapitalとPlanetary Impact Venturesに加え、EIFO(デンマーク輸出投資基金)とBoxOneが新たに参加。

調達資金は、初の製品として年内の発売が予定されている多機能原料「FermiPro」の生産および商業展開を加速するために使用されます。

「FermiPro」はソラマメ、オーツ麦、塩の3種類のみを原料とする発酵タンパク質で、肉料理に特有の複雑なうま味と深みをもたらすもの。グアーガムなどの増粘多糖類、デンプン、添加物なしで自然な食感を実現するとされています。

香料や食感改良剤、増粘剤、添加物の使用を避けられるほか、ミネラルとビタミンB群を含む理想的な栄養プロファイルを実現。主要な植物性タンパク質である豆類のより広範な活用を可能にすると同時に、クリーンな植物由来およびハイブリッド製品の開発を支援します。

乳製品フリーチーズのプロトタイプを作製した際には、「FermiPro」を添加することで、標準的な市販品と比較してタンパク質含有量が10%以上増加、脂肪分が30%削減され、さらに豊かな味と食感を実現できたといいます。

異なる微生物の相互作用を引き出す発酵システム


SUMM Ingredientsは、多様な植物由来原料に複数の微生物を作用させる、自然の発酵に着想を得た独自のクロス発酵プラットフォームを基盤にイノベーションを構築し、これを制御された工業プロセスに組み込みました。

大部分はごく標準的な固体発酵液体発酵を組み合わせた手法を採用し、その後バイオマス全体を乾燥させて最終的な粉末原料としますが、革新的なのは異なる微生物の相互作用を引き出す手法。

発酵の各段階で変化する環境と生成される副産物が次の段階で活用されることにより、単一の発酵工程では達成できない風味と機能性が得られ、植物性チーズ、ハイブリッド肉、ブイヨン、調味料、スナックなど、さまざまな食品への応用が可能になります。

用途によって異なるものの、配合率は通常、最終製品の2.5〜4.5%。市場化に先立って顧客からの最初の注文を獲得しており、現在1バッチあたり最大6トンの規模で生産を行っています。

また、「FermiPro」に加えて、糖分削減と口当たりに焦点を当てた第2の多機能性原料を開発中とのこと。

創業者でCEOのFrederik Jensenは、「当社の使命は、味、食感、栄養を1つのソリューションで提供する新たな原料カテゴリー(多機能発酵タンパク質)を開拓することだ。これにより食品メーカーは、健康的で風味豊か、かつ配合がはるかに簡素化されたクリーンラベルの植物性食品を、よりスマートな方法で創出できるようになる」と語っています。

参考記事:
Danish SUMM Ingredients raises €1.7 million and launches multifunctional protein ingredient | EU-Startups
Summ Ingredients secures €1.7m to launch multifunctional fermented protein category | The Plant Base
Exclusive: Summ Ingredients Nabs $2M to Transform Plant-Based Food with Fermented Proteins

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。