グアーガム製造の副産物活用を進める米CoryPro Ingredients、メキシコに専用のタンパク質加工拠点を設置

グアーガム製造の副産物となっているタンパク質原料の活用を進める米国のスタートアップ企業CoryPro Ingredientsが、グアーガム製造を手掛けるメキシコのPolymeralsと共同で新たな加工施設を設立する契約を締結しました。
スケーラブルで安価なタンパク質源に
本契約は、投資、建設、そして両社の長期にわたる協業の枠組みを規定しており、コアウイラ州の都市トレオンに、クラスタマメ(グアー豆)タンパク質の加工施設を立ち上げる予定。
Polymeralsが原料・土地・インフラを提供し、CoryPro Ingredientsが独自技術の活用と商業化を担います。
タンパク質原料の販売・マーケティングを専門とする食品業界のベテランで、CoryPro IngredientsのCEOを務めるRobert Beausireは、「スケーラブルで安価なアップサイクルしたグアー豆タンパク質を世界市場に投入する上での重要な一歩だ」とコメントしました。
両社は今後、さらなるエンジニアリングと投資計画を経て最終契約を締結する見込み。Beausireは200万ドル(約2億9,700万円)のシード資金調達の機会を探っていると明かしていますが、その半額もあれば、顧客へのサンプル提供と限定発売に向けたタンパク質濃縮物10トンの生産、米国食品医薬品局(FDA)へのGRAS申請、知的財産権の拡張などが可能。
「施設の建設資金と継続的な運営資金を調達する必要があるが、このプラントは比較的低コストで収益性が非常に高い。Polymeralsとの関係性により、必要な資本を削減できる」としています。
副産物から生み出される大きな価値
Beausireは、近年あらゆる種類のタンパク質が食品メーカーに提案されている中、グアー豆タンパク質はすっきりした風味を提供できる上、価格も安く安定していると主張しています。
現在、加工食品に添加する増粘剤・安定剤・乳化剤として人気の高いグアーガムを製造するため、年間300万トンのグアー豆が加工されているとのこと。
しかしながら、その際副産物として発生するタンパク質を豊富に(55%)含んだ残渣は、価値の低い動物飼料の市場に流れていく傾向にあります。
ヒトの食品向けに高付加価値のタンパク質濃縮物・分離物を開発する利点は明らかと、Beausireは強調。豆の主成分であるグアーガムにはすでに市場が存在しているため、CoryPro Ingredientsはタンパク質生産の経済性を心配する必要がないといいます。
対照的に、緑豆、エンドウ豆、ヒヨコ豆、ソラマメなどの一般的な豆類から原料を製造する企業にとってはタンパク質がメインであり、副産物(デンプンと食物繊維)からは大きな価値が得られません。
Beausireによると、グアー豆残渣の価格は、脱脂加工大豆の先物価格によって決定されるとのこと。
「ほかの植物性タンパク質の場合、例えばカナダで干ばつが発生すると、直接の影響を受けて価格が上昇する。グアー豆は乾燥条件下でもよく生育し、たとえ作物が影響を受けてもグアーガムの価格が上昇するだけで、タンパク質残渣の価格は脱脂加工大豆に連動しているため、市場変動がある程度抑制される」と説明しています。
参考記事:
CoryPro Ingredients | LinkedIn
CoryPro Ingredients signs deal with Polymerals to establish guar protein facility in Mexico
Guar protein: New, cleaner-tasting kid on the plant-based block?
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