トルコのItz Nutz、カシューナッツベースの代替乳製品拡大に向け約8,000万円を調達

カシューナッツベースの代替乳製品を製造・販売するトルコのItz Nutzが、投資家ネットワークŞirketOrtağımとベテラン経営者Mehmet Betilが主導する投資ラウンドで、53万5,000ドル(約7,900万円)の調達を行ったと発表しました。

B2B展開を強化し、世界的なブランドへ


Itz Nutzは、今回得た資金を製造能力の増加、新製品の開発、輸出チャネルの開拓に充てる計画。ホテル・レストラン、小売りチェーンなど、B2Bのパートナーシップを通じた展開拡大を目指します。

また、乳幼児向けの植物性栄養食品「Itz Nutz Kidz」を充実させ、トルコ国内と国際市場の両方で成長を図る方針です。

同社は2018年、小児科医で栄養士のAyşenur Yıldırımと、Aytaç Yıldırımの夫妻によってイスタンブールで設立されました。

提供するのは、カシューナッツをベースとしたヨーグルト、チーズ、バターなどの代替品。伝統的な醸造・発酵技術と現代の食品技術を融合させ、添加物は使用していません。

Migros、Eataly、Macrocenter、Boldyといった地元のチェーン店で販売されており、そのほか欧州で有数の規模を持つ小売り大手Metro(メトロ)向けのホワイトラベル製品の製造や、機内食のケータリングを手掛けるDO & CO(ターキッシュ エアラインズが一部出資)への供給も行っています。

投資に加わったMehmet Bemilは、「世界の食品産業は急速に変化しており、健康、持続可能性、そして倫理的価値に焦点を当てた企業が未来を形作るだろう。Itz Nutzはこの変革をトルコから牽引する最も有力な企業の一つで、今後世界的なブランドに成長すると確信している」とコメントしました。

厳しい表示規制の存在する国内市場


健康と製品の安全性が主な要因となり、トルコでは植物性食品の消費が増加傾向にあります。

一方、Itz Nutzのような代替乳製品ブランドにとっての問題は、同国の食品表示ガイドラインの規定により、ヴィーガン食品に対する乳製品関連の用語(ミルク、ヨーグルト、バターなど)の使用が認められていないこと。

乳製品が文化に深く根付いたトルコでは、強い影響力を持った業界ロビーが、このような用語の使用により非乳製品が同等の栄養価を提供できるという「誤った認識」を抱かせる恐れがあると主張。

その結果、パッケージに記載できる内容に関する規制は世界で最も厳しい部類に入り、植物性ミルクに「ミルクを含まない」という表現すらも禁止されているほどです。

イスタンブール・アレル大学に所属するフードテックの専門家Elif Güngör Reisは、以前の取材で「消費者の意識が高まるにつれこうした規制は変化する可能性があるが、現時点ではこの区別がトルコ文化における乳製品の独特な役割を浮き彫りにしている」と話しています。

参考記事:
Turkish Brand Itz Nutz Secures $535K for Cashew-Based Dairy Alternatives
Turkey’s Itz Nutz Raises $535,000 to Expand Cashew-Based Dairy Alternatives
Itz Nutz secures US$535,000 to develop new products and expand distribution | Dairy Business Middle East & Africa
With Plant-Based Consumption on the Rise in Turkey, Are the New Labelling Laws A Blow?

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