培養シーフードを手掛けるAtlantic Fish Co.が約1.8億円を調達、市場化に向け規制対応と提携を推進

米国のAtlantic Fish Co.が、シードラウンドで120万ドル(約1億8,400万円)の資金調達を完了したと発表しました。

技術的なマイルストーンを着実に達成


本投資はKatapult OceanAlwyn CapitalDMV CapitalGeorgetown Angel Investment Network(GAIN)が主導しました。

Atlantic Fish Co.はまた、米国国立科学財団(NSF)から中小企業技術革新研究プログラム(SBIR)の助成金として30万5,000ドル(約4,670万円)を獲得。これまでの総調達額は230万ドル(約3億5,200万円)となっています。

同社の技術は、乱獲と従来型養殖の持続可能性の限界により逼迫している世界の水産業界が直面する課題に取り組むもの。複数の魚種について培養生産が行えるプラットフォームを開発中で、初期段階ではブラックシーバスなど価値の高い白身魚に注力しています。

昨年、本社を置くノースカロライナ州のFood Innovation Labと提携して、開発したプロトタイプの試食イベントを開催しました。

Katapult Oceanの投資マネージャーを務めるSam Seligは、「同社のチームは、最初の対話から2年近くにわたって卓越した実行力を示し、技術的なマイルストーンを着実に達成し、私たちが培養タンパク質における画期的な技術と信じる方向へとプラットフォームを前進させてきた」と高く評価しています。

乱獲や気候変動で脅かされる海洋の持続可能性


現在、世界の魚類資源の約90%が最大漁獲量に達しているか、すでに過剰漁獲状態にあると推定されています。

ある研究によると、主に過剰漁獲が原因で、2048年までに海洋の生態系が完全に崩壊する可能性もあるとのこと。気候変動はこの事態を悪化させており、外海へ押しやられた魚類が過剰に漁獲されるリスクを高めているといいます*

Atlantic Fish Co.のCEOを務めるDoug Grantは、「水産物は深刻な危機に直面している。多くのものであれば作れるが、海を増やすことはできない」と指摘。

同社は魚類の細胞を培養することで、水銀、マイクロプラスチック、抗生物質、寄生虫など従来の水産物に含まれる有害汚染物質を排除し、持続可能な「レストラン品質の」代替品を提供しています。

足元では、米国での製品化に必要な認可取得のため米国食品医薬品局(FDA)との市販前協議などを進めるとともに、シェフや外食産業パートナーと連携しての市場投入を計画中。

今回の調達資金は、製品の最適化と改良、規制対応への準備、市場適合性の検証と流通チャネルの確立に向けた提携先の開拓に充てられる予定です。

参考記事:
Seed Funding Round Nets Atlantic Fish Co. $1.2M for Whitefish Cultivation Tech
Atlantic Fish Co Nets $1.2M to Advance Regulatory Efforts for Cultivated Seafood
Atlantic Fish Co.’s Doug Grant on Sustainable Seafood, the Best Food at RDU, and Closing a $1.2M Seed Round – GrepBeat
* Climate change is driving fish stocks from countries’ waters to the high seas: Study

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