スウェーデン・イケアが植物性ミルクを手掛けるThe Green Dairyに約13.7億円を投資し、筆頭株主に

スウェーデンの家具メーカー、イケアのベンチャーキャピタル部門Ingka Investmentsが、オーツ麦とソラマメを原料に植物由来製品を製造するThe Green Dairyの株式の過半数を8,000万スウェーデン・クローナ(約13億7,000万円)で取得しました。
資本注入で黒字化を狙う
The Green Dairyの起源は、1989年に創業者のBo Funetegが乳製品フリーのアイスクリームを発売したのが始まりです。2006年にスウェーデン南部のKarlshamnに工場を構え、Gröna Mejerietとして事業展開を開始しました。
主力製品として、オーツ麦を主原料とした代替ミルク、アイスクリームやソフトクリーム、ホイップクリームなどを販売しています。
さらに一部の製品にはソラマメの利用も進め、今年はエストニアのTFTAKと提携して、ソラマメ80%とオーツ麦20%を組み合わせた代替ヨーグルトを開発。欧州で成長を見せているハイブリッド乳製品の製造にも活用できる可能性を示しています。
Ingka Investmentsの広報担当者は、「過半数株式の取得により、The Green Dairyは持続可能な長期成長に必要な安定性を強化できる。植物由来で手頃な価格の代替乳製品を開発するという同社の使命を引き続き支援していく考えだ」とコメントしています。
The Green Dairyは2012年からイケアを投資家として迎え、2024年度には1億3,790万クローナ(約23億6,000万円)の純売上高を計上。ただし、EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)を見ると7,230万クローナ(約12億4,000万円)の損失となっており、新たな資本注入による成長加速を見込んでいます。
オーツミルク製造の残渣を代替肉に活用
オーツ麦ベースの乳製品を製造することで排出量、土地利用、水消費量の大幅な削減を実現したThe Green Dairyですが、オーツミルク製造の残渣であるパルプ(搾りかす)から抽出するタンパク質「reOat」の活用によって、持続可能性への取り組みをさらに一歩前進させました。
オーツ麦のパルプは通常廃棄される栄養豊富な副産物ですが、化学薬品や溶剤を使用しない穏やかなプロセスにより、この残渣を高付加価値原料へとアップサイクル。食品廃棄物の削減と循環型経済への貢献を推し進めています。
「reOat」には36%のタンパク質と30%の食物繊維に加えて、オーツ麦の脂質に由来する健康的な脂肪が12%含まれます。風味はニュートラルで、大豆不使用・非遺伝子組み換えの選択肢を提供。
主な用途としては、代替乳製品、ベーカリー製品、シリアル、スポーツ栄養製品、プロテインバー、スナック、そして代替肉製品が挙げられます。
昨年、同社はヨーテボリで毎年開催される3日間の音楽フェス「Way Out West」でこのタンパク質原料を配合したハンバーガーを1万個以上提供し、活用の可能性をアピールしました。
「原材料のどの部分も無駄にしない、より循環型の食品システムを構築することが狙いだ。ほかの食品企業と連携して、食の未来を形作る一助となりたい」と述べています。
参考記事:
Oatly-utmanaren får in 80 miljoner från Ikea │ Impact Loop
The Green Dairy: Ikea Pumps $8.6M into Plant-Based Milk Producer to Become Majority Owner
Ikea takes majority stake in The Green Dairy with US$8.6 million investment | PPTI News
Ikea-backed Ingka takes majority stake in The Green Dairy – Inside FMCG


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