Simple Planetが培養肉生産のコストを99.8%削減する無血清培地を発表、ハラール研究機関との連携も

韓国の代替プロテイン企業Simple Planetが、プロバイオティクスの活用により開発した、食品グレードの無血清培地を発表しました。

同時に、タイ・チュラロンコン大学のハラールサイエンスセンター(HSC)と提携を実施し、増加するムスリムのハラール食品市場に進出しています。

倫理的な低コスト培地の製品化へ


Simple Planetの共同創業者でCEOを務めるDominic Jeongは、プレスリリースの中で、「ウシ胎児血清(FBS)への依存は、細胞ベースの技術をスケールアップする上で、コスト面・倫理面の問題を長い間引きずってきた」と指摘しました。

同社が開発している無血清培地は、プロバイオティクスのリサイクルにより作製したもの。細胞の成長と分化を助けるこの成分を用いることで、高価な成長因子を組み込む必要性をなくし、生産コストの99.8%以上の削減に成功しました。

研究機関やイノベーションセンターでこの培地をテストしたところ、正常な細胞形態を維持しながら筋芽細胞の増殖を促進する機能が実証されたといい、業界で生じている需給ギャップに対処する、高性能で信頼性の高い培地として期待されます。

細胞ベースの食品生産のほかにも、バイオ医薬品、再生医療、科学研究など多岐にわたる分野を前進させる可能性を秘めているとのこと。今年、世界に向けての発売を計画しています。

また、同社では特定の細胞種に特化した培地も開発しており、その一つがウシ筋芽細胞用の専用培地。分野を問わず応用でき、高性能と低コストを保証するよう、現在も研究が続けられています。

同社は昨年2月に80億ウォン(約8億3,200万円)調達を実施、5月に韓国政府から110億ウォン(約11億4,000万円)助成金を受け取っており、現在は国内外の27の著名大学と提携関係を築いています。

新たな提携でハラール市場へも注力


Simple Planetは同時に、タイ・チュラロンコン大学のハラールサイエンスセンター(HSC)と提携を行う旨の覚書(MOU)を締結しました。

提携の目的はハラール関連の共同研究において包括的に協力することで、客員講師や教授、スタッフ、学生インターンといった人的資源と研究スペースを共有し、カンファレンスやセミナーなどの学術イベントを共同で開催する予定。

また、Simple Planetはハラールの適正製造規範(GMP)に適合した生産施設の設立と、自社製品のハラール認証取得を進める計画です。

世界のムスリム人口が19億人を超えていることを考えると、ハラールはフードテック業界の一大市場として急成長しているといえるでしょう。

チュラロンコン大准教授でHSC創設者のWinai Dahlanは、「ムスリムが急速に進化する世界から取り残されないよう、この提携が、世界中のムスリムにとって細胞ベースの食品へのアクセスを可能にする一歩となることを期待している」とコメントしています。

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