ユニリーバの植物性代替肉ブランド「The Vegetarian Butcher」、オランダ企業Viveraへの売却で合意

消費財大手の英ユニリーバが、保有していた植物性代替肉ブランドの「The Vegetarian Butcher」を、オランダの同業他社Viveraに売却することで合意したと発表しました。

30の主要ブランドに注力し事業を再編


ユニリーバがポートフォリオ再編の一環として「The Vegetarian Butcher」の売却を計画していることは昨年11月に報じられていましたが、Viveraが提出した買収提案のオファー(金額は非公開)を受け入れ、合意に至りました。

クロージング条件の調整、規制要件への適応確認、協議プロセスを経て、今年第3四半期までに手続きを完了させる予定です。

ユニリーバは「Growth Action Plan 2030(GAP2030)」の一環として、ヘルマンズ、ダヴ、クノールなど売上高の4分の3以上を占める30の主要ブランドに焦点を絞り、合計して年間売上高約10億ユーロ(約1,620億円)に相当するその他のブランドを一掃する意向。

2018年に買収したThe Vegetarian Butcherについても、冷蔵・冷凍製品に専用のサプライチェーンと調達モデルを必要とするため拡張性が低いとして、削減の対象になりました。

さらに、植物性食品事業の革新には独自の技術力と研究開発力が必要で、これも拡大してきたユニリーバの幅広い製品群に見合わないことから、売却が最善の選択肢と判断しています。

JBS傘下の企業で成長を図る


世界有数の植物性代替肉メーカーであるThe Vegetarian Butcherは、畜産農家に生まれたJaap Kortewegと、オランダの政治家で動物党メンバーのNiko Koffemanにより2007年に設立されました。2016年にユニリーバとベジタリアン向けミートボールのラインを共同開発したことが、2年後に行われた買収のきっかけとなっています。

同ブランドの製品は、世界55カ国の40,000を超える小売店に加え、バーガーキングやサブウェイなどの外食チェーンでも取り扱いがあります。

ユニリーバは、2019年には800万ポンド(約15億4,000万円)以上のマーケティング費用を費やしたといい、買収以来平均して2桁成長を続けているとしていますが、一方で同ブランドの年間売上高は5,000万ユーロ(約81億2,000万円)ほどで赤字であるとも報道されていました。

1990年創業のViveraは、欧州では最も古く規模の大きい代替肉メーカーの一つ。当初は旗艦ブランドとして食肉を有するEnkco Foodgroupの一員でしたが、2017年に植物性食品事業のみに集中するためEnkcoを売却。その後も成長を続け、2021年、持続可能性の取り組みを進める世界的な食肉大手のJBSに買収されました。

リサイクル可能なPETトレーを用いるなど環境面に力を入れ、2022年にクライメイト・ニュートラル(気候中立)を達成。現在、Viveraの製品は欧州25カ国、27,000店以上のスーパーマーケットで販売されています。

参考記事:
Unilever selling Vegetarian Butcher brand to Vivera
Unilever to Sell Plant-Based Meat Brand The Vegetarian Butcher to JBS-Owned Vivera
Unilever to sell The Vegetarian Butcher brand to Vivera | News | The Grocer

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