Bestzymeが精密発酵ブラゼインのFDA GRASを取得、糖質削減ソリューションを世界市場に提供へ

米GenScript Biotechの子会社Bestzymeが、主力製品のブラゼイン「Mellia」について、米国食品医薬品局(FDA)よりGRAS(Generally Recognized as Safe:一般に安全と認められる)ステータスに関する「No questions(異議なし)」レターを受領したと発表しました。
血糖値を上げない糖質削減ソリューション
Bestzymeは、昨年7月にGRAS自己認証を完了。米国内での販売が可能となっていましたが、このたびのGRAS指定により、食品・飲料業界で幅広い用途に使用できる安全な汎用甘味料として正式に認められました。
ブラゼインは、西アフリカに自生するニシアフリカイチゴ(Pentadiplandra brazzeana)の果実に含まれ、スクロース(砂糖)の500〜2,000倍の甘味を持つとされるタンパク質。
この果実は地元では古くから食用とされてきましたが、収穫できる量が限られているため、ブラゼインを抽出して大規模に商業利用することは困難でした。
Bestzymeは、酵母に遺伝子組み換えを施して発酵させる精密発酵の技術により、ブラゼインの持続可能な大規模生産を実現させました。
「Mellia Brazzein」の特長は、純粋で強い甘味と風味修飾効果。タンパク質の分子構造を持つため、血糖値を上げたり腸内細菌叢を乱したりすることなく、体内で速やかにアミノ酸へと消化されます。
飲料、乳製品、菓子、チョコレート、サプリメントなど、幅広い用途における糖質削減ソリューションとして最適で、健康志向のライフスタイルが重視される中で高まってきたニーズに応える、次世代のゼロカロリー甘味料です。
競合では商品化に成功した例も
精密発酵ブラゼインを開発するほかの企業の動向としては、米国企業のSweegenが、2023年に米国食品香料製造者協会(FEMA)から「FEMA GRAS」ステータスを取得。
FEMAは独立した専門家パネルで香料に特化した安全性評価を行っており、FEMA GRASとされた物質は、自動的に香料として使用できる旨をFDAが了承しています。
同じく米国のOobliは、昨年3月にFDA GRASを取得。ほとんどの食品・飲料において砂糖の70%以上を置き換えることが可能といい、すでにチョコレートバーやドリンクを発売しています。
その後さらに別の甘味タンパク質モネリンでも同じ認可を得て、シリーズB1ラウンドでは1,800万ドル(約26億3,000万円)の調達を行いました。
アラブ首長国連邦(UAE)のNovel Foods Groupは、5億ドル(約731億円)を投じて生産施設を建設することで合意に至っており、UAEで増加する糖尿病と肥満の問題に対する画期的な解決策を模索している様子です。
参考記事:Brazzein sweetener receives FDA approval as sugar-reduction demand rises in confectionery
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