Moolec Scienceが、大豆から豚由来のヘムタンパク質を生産する分子農業技術の米国特許を取得

分子農業を手掛けるスタートアップ企業のMoolec Scienceが、豚由来ヘムタンパク質を産生するよう改良を施した大豆「Piggy Sooy」の生産技術に関する米国特許を取得したと発表しました。

植物を用いて動物性タンパク質を生産


米国特許商標庁(USPTO)より付与された特許は、Moolec Scienceの技術から得られる植物、種子、開発方法、および食品組成を含む範囲をカバーしています。

種子中に豚由来のヘムタンパク質を産生するように設計された初の大豆品種「Piggy Sooy」は、植物を用いた動物性タンパク質生産における新たなアプローチを実証するもの。

2024年4月、米国農務省動植物検疫局(USDA-APHIS)は、この遺伝子組み換え大豆に従来の大豆と異なる病害虫リスクはないと判断し、米国法の下で特定の規制の対象外となることを確認しました。

これにより商業化に向けて前進し、現在は野外試験が進められている最中。初期の試験では有望な結果が得られ、種子中の動物性タンパク質含有量は20%を超えていたといいます。

Moolec ScienceのCSO(最高科学責任者)を務めるAmit Dhingraによると、この技術は環境面でも大きなメリットを実現。1エーカーの「Piggy Sooy」生産では、伝統的な食肉生産に比べて土地利用が35倍、水使用が8倍少なく、CO₂排出量を60分の1に削減しながら、豚約10頭分に相当するタンパク質を生成できます。

ほかの代替プロテイン技術も傘下に統合


「Piggy Sooy」に関する特許は、Moolec Scienceに米国における商業上の独占的な権利を2042年まで付与しています。同社はまた、分子農業の革新技術を保護するため、世界中でさらに15件を超える特許出願を行っています。

同社は先日、Bioceres Groupとの合併を完了させ、マイコプロテインや精密発酵を手掛けるNutrecoと、Gentle Technologiesも含めた親会社としての地位を確立。

気候変動に耐性のある種子や微生物のソリューションを含むBioceres Groupの技術や、Nutrecoが保有するSynbio Powerlabsのインフラ、Eternalの社名で展開する「Mycofood」ブランドが統合されました。取得済みまたは出願中の特許からなる知的財産のポートフォリオは500件を超えています。

今年新たにMoolec ScienceのCEOに就任したAlejandro Antalichは、「この特許は分子農業分野における当社の技術上の優位性を証し、植物から動物性タンパク質を得る際の発現レベルが前例のない水準に達した技術を保護するもの。自信を持って商業化への道を歩み、食品・飼料の原料事業において差別化を図るための重要な資産だ」とコメントしています。

参考記事:
Moolec Science Receives US Patent for Soybean Capable of Producing Porcine Heme Proteins
Moolec Science Merges with Bioceres Group to Scale Molecular Farming Platform

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