インド初の動物幹細胞を集めたバイオバンクが開設、培養肉開発も焦点に

インドのハイテク産業集積地ハイデラバードにある国立動物バイオテクノロジー研究所(NIAB)に、国内初となる動物幹細胞を集めたバイオバンクが開設されました。
業界に高品質な幹細胞と培地を供給
今月、インドのJitendra Singh科学技術相によって落成式が行われたこの施設は、政府からの1,850万ルピー(約3,130万円)の投資で建設されました。
9,300平方フィート(約860平方メートル)の広さがあり、バイオテクノロジーを重視する国家戦略に沿って、動物の健康、再生医療、農業生産に革命を起こすことを目的としています。
バイオバンクには、幹細胞の培養装置、3Dバイオプリンター、凍結保存設備、オートクレーブ、空気処理システム、無停電電源装置(UPS)などを完備。
研究機関、動物病院を含む医療施設、産業界に、動物由来の高品質な幹細胞と、コスト効率の良い独自の培養液を供給します。
Singhは、これらの技術革新が、国の農業関連GDPを押し上げると示唆。「GDPの18%を占める農業には労働人口の60%が依存しているため、獣医衛生学におけるイノベーションは大きなインパクトをもたらすだろう。農業分野の研究に1億ルピーを費やすと13億ルピーのリターンが見込め、当初から産業界のパートナーとつながることで、これらの技術を確実に現場に届けられる」と述べました。
培養肉の市場化に向けた動き
バイオバンクの設置は、経済・雇用・環境に焦点を当てた政府の「BioE3」政策に沿ったもの。
バイオものづくりのハブやバイオファウンドリの設立による技術開発と商業化の加速を目指すこの政策は、ちょうど1年前に発表されました。政策の6つの柱の中には、スマートプロテイン(代替タンパク質)と機能性食品が含まれています。
GFI IndiaのSneha Singhは、「研究開発とイノベーションを支援することで、この政策はスマートプロテイン製品の栄養、価格、味を向上させ、動物性食品に代わり真に競争力のある代替品を生み出せるようになるだろう」と昨年『Green Queen』に語っています。
インド食品安全基準局(FSSAI)は新規食品の規制枠組みの確立に取り組んでおり、昨年にはベンガルールに2つの代替プロテインセンターが開設されました。
12月、同国のスタートアップ企業Biokraft Foodsは、ムンバイで国内初となる培養肉の公開試食イベントを開催し、ハイブリッドチキンを披露。今年に入って、政府系の研究機関との共同プロジェクトで培養魚のプロトタイプ開発も成功させました。2026年までに食肉とシーフード両方での商業展開を目指し、近くFSSAIに認可申請を行う方針です。
近い将来の製品発売に向け、国内市場も準備は整っている様子。2024年の調査ではインド人の60%以上が培養肉の購入に前向きで、その半数近くは10〜30%のプレミアム価格を支払うことも厭わないとの結果が得られています。
参考記事:
India Opens First Animal Stem Cell Biobank, With Cultivated Meat A Key Focus
India’s first animal stem cell biobank opens in Gachibowli: Boost for veterinary medicine, livestock health; aims to cut import dependence | Hyderabad News – Times of India
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