米Synonymがバイオマニュファクチャリング産業の成長を促進する、無料の技術経済性分析(TEA)ツールを発表
商業規模のバイオマニュファクチャリング施設の設計・開発などで業界をリードする米Synonymが、発酵産業用の無料オンライン技術経済性分析(TEA)ツール「Scaler™」を発表しました。
設備投資の意思決定を後押し
Synonymによると、Scaler™の開発はバイオマニュファクチャリング産業の成長促進を目的としたもの。バイオ製品を大量生産したい企業にとって、設備投資を実行に移す前の段階で運営コストや生産コストを予測することは、難しい問題となっていました。同ツールの活用により、これらコストの予測を簡便化し、企業の設備投資の意思決定を後押しできるといいます。
また、合成生物学コミュニティ内のプレーヤーに技術経済性分析*1 を手軽に実施してもらうことで、効果的な経営上のロードマップや生産戦略の策定を可能にする狙いです。
Scaler™では、発酵、原料、培地、下流工程、資金調達の仮定などに関連する変数について、50以上のパラメータの調整が可能。設定を行い分析が完了すると、CAPEX(資本的支出)や売上原価の内訳、感度分析、融資適格性分析など、重要なインサイトをまとめたレポートを発行します。
公開当初は、好気性無菌発酵プロセスの技術経済性モデリングのみに対応。Synonymのチームは、今後もさまざまな技術や分子タイプを順次システムに組み込み、最も包括的な無料TEAツールとして確立させる予定とのことです。
現在の発酵生産の規模は不十分
Synonymは昨年10月、プレシードラウンドで630万ドル(約8億6,300万円)を調達。その直後には、The Good Food Instituteとの共同開発により、世界中の微生物発酵を行える施設とその生産能力をカタログ化した無料データベース「Capacitor」を発表しました。
しかしこの開発を経て同社は、現在の発酵生産能力では、規模的にまだまだ不十分であるとの結論に至ったといいます。そこで、新たな施設の稼働を促進するため、まずはコスト予測ができるツールの提供に着手することに。生産企業のみならず、投資家にとっても考慮するべき重要な指標とマイルストーンを提供するものとなっています。
Scaler™は、誰でも自由に利用可能。scaler.bioから情報を登録して、分析を行えます。
*1 技術開発において、その技術が組み込まれたシステム全体の経済性を評価すること。事業期間を通した収益と費用の見積もり、評価における感度解析などを行う。
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