細胞培養ミルクを開発するOpalia、事業拡大と認可取得に向けて約3.7億円の資金調達に成功

細胞培養ミルクの生産拡大と北米での販売認可取得を目指すカナダ・モントリオールのスタートアップ企業Opaliaが、シードラウンドの初回クローズで320万カナダドル(約3億7,000万円)を確保したと発表しました。
複数の国で顧客とのパイロット契約を締結
今回の投資はNàdarra Venturesがリードインベスターを務め、Spring Capital、UCEED、Anges Quebecに加えて、ケベック州政府の投資会社Investissement Québec、Cycle Momentum、BoxOne Venturesといった既存投資家が参加しました。
Opaliaの共同創業者でCEOを務めるJennifer Côtéは、初期段階の強い需要を受けて厳選した戦略的投資家を募っており、7月中旬までにさらに180万カナダドルを調達して、総調達額を500万カナダドル(約5億7,800万円)に引き上げる計画を明かしています。
調達資金は、より低コストで大量生産が行えるシステムの開発、昨年8月に初の商業的供給契約を締結したオランダの大手乳製品メーカーHoogwegtとの商業化前パイロットプロジェクト(小規模な製品の実現可能性テスト)、追加のPCT特許出願、そして北米に重点を置いた規制当局の承認手続きの継続に充当される予定です。
2020年にCôtéとCTO(最高技術責任者)のLucas Houseによって設立されたOpaliaは、牛を使わずにバター、クリーム、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品を得るため、不死化ウシ乳腺細胞株を樹立。
牛から組織を採取する必要をなくしてバイオリアクターで乳腺細胞を培養し、牛乳と同様の後処理工程を経て、タンパク質、脂肪、糖など牛乳の成分をすべて含んだ製品を生産します。
この製品は、液体または粉末状の牛乳としてB2Bの顧客に直接販売され、既存の乳製品サプライチェーンに容易に統合できるため、企業はアニマルフリーの乳製品を自社の製品ポートフォリオに組み込むことが可能に。
Opaliaは、Hoogwegtとの2年間の契約のほかにも、世界最大級の乳製品メーカーのカナダ支社とも有償のパイロット契約を締結しており、3大陸5カ国に及ぶパートナーシップを構築しています。
リットル単価2ドルの生産コストを目指す
Opaliaは今後2年間で独自のモジュール式バイオリアクターの検証を行い、迅速かつ資本効率の良い生産能力拡大の基盤を構築する計画。2028年には、Hoogwegtをはじめとするパートナー企業と共に市場参入を目指します。
スケールアップにより大幅にコストを削減して、乳製品との価格差を縮められると見込んでおり、当初はモントリオールの施設で培養ミルクの生産を行い「1リットルあたり2ドルの生産コスト実現が目標」とCôtéは明かしました。
次のマイルストーンは販売認可の取得で、まずはカナダ、続けて米国* の規制当局への申請準備を始めているとのこと。アジアと欧州での申請にも間もなく着手する予定です。
細胞培養ミルクの開発に取り組んでいる企業は、現状ではごく少数。Opaliaのほかには、イスラエルのWilk、ドイツのSenara、米国のBrown Foodsなどがあり、フランスのNūmiと米国の108Labsは培養母乳の開発を進めています。
* 米国では、食品医薬品局(FDA)と農務省(USDA)の両方から承認を得ることで販売が可能となるが、先日ミシシッピ州が先手を打って細胞培養乳製品の販売を禁止しており、培養肉に対する禁止措置と同様、ほかの州へと広がる可能性も考えられる。
参考記事:
Opalia Lands $2.3M in Funding to Scale Up & Seek Regulatory Approval for Cell-Based Milk
Opalia raises C$3.2 million to scale cell-based dairy patform | PPTI News


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