培養肉の生産に真菌由来化合物を用いて、ウシ筋細胞の寿命を延長 —韓国・全北大学校

韓国・全北大学校の研究チームが、一般的な土壌真菌由来の化合物が、培養牛肉の生産に使われる細胞の利用可能期間を延ばすのに役立つことを明らかにしました。

この発見は、培養肉業界における長年の課題である生産コストの削減につながる可能性があります。

細胞寿命を延ばしコスト低下に貢献


科学誌『Scientific Reports』に掲載された本研究は、韓国農林畜産食品部(MAFRA)の傘下にある「農林水産食品技術企画評価院(iPET)」の助成を受けて行われました。

研究チームは、韓国の土壌から分離された真菌株、Metarhizium pinghaense 15R(MP15R)から抽出された多糖類の検証を実施。

培養牛肉の原料となるウシ筋サテライト細胞にこの多糖類を作用させたところ、細胞の増殖速度が向上し、分裂を繰り返しても幹細胞としての特性を維持できることが確認されました。

筋サテライト細胞は、培養期間が長くなるにつれて分裂能力を失い、幹細胞としての性質は次第に失われていきます。生産者は筋組織へと分化させる前に、細胞を何度も分裂・増殖させる必要がありますが、途中で細胞が劣化してしまえば、動物から新たに組織を採取してやり直さざるを得ません。こうした「リセット」は、生産工程ごとに時間とコストの増加を招く要因となります。

研究チームは、MP15Rが長期培養中も細胞を分裂状態に維持し、さらにその後の段階である筋線維への融合も促進したと報告しました。

培養肉向けの添加剤は通常、上記のいずれかの段階にのみ作用するものが一般的ですが、同チームはMP15Rが両方の段階に寄与する点に着目し、従来の添加剤と比較して低コストかつ持続可能な選択肢であると説明しています。

投入コストの削減は、培養肉分野における依然として重要な課題です。特に生産コストの大部分を占めるウシ胎児血清(FBS)や組み換え成長因子に関しては、海藻由来の多糖類やインスリンなどの成長因子を含むさまざまな代替物質が検証されてきました。

韓国内でも、SeaWithが独自の培地添加剤を開発する英国企業3D Bio-Tissuesと提携して、培地の使用量を削減。販売認可の取得に向けて一歩リードしているとみられるSimple Planetは、プロバイオティクスを活用して食品グレードの無血清培地を開発しています。

参考記事:Fungal Compound Extends Bovine Cell Lifespan in Cultured Meat Bioprocessing

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