ワーゲニンゲン大学主導の「VASCO」プロジェクトがスタート、副産物に由来するタンパク質の有効利用を探求

ワーゲニンゲン大学研究センター(WUR)が、オランダ科学研究機構(NWO)から約400万ユーロ(約7億2,200万円)の支援を受けて、農業副産物を食品原料へと転換するための大規模な6カ年プロジェクトをスタートさせました。
タンパク質抽出と発酵、2つの手法を探求
「VASCO」と名付けられた本プロジェクトの目的は、現在、家畜の飼料やバイオガス、その他の価値の低い用途に回されている素材を、ヒトの食品として加工・利用できる可能性について調査すること。
そのような素材の一例が、菜種油の搾油後に残るタンパク質豊富な菜種粕です。約30%のタンパク質を含んでいるにもかかわらず、主な用途は家畜の飼料であり、豆類の加工過程で生じる副産物の一部も同様。
ワーゲニンゲン大学で食品微生物学の教授を務めるHeidy den Bestenによると、こうした製品の約20%は、色や形が規格に合わないことや、サプライチェーンにおける物流連携の不備などが原因で廃棄されているといいます。
「VASCO」プロジェクトでは、菜種、豆類、ジャガイモ由来の副産物を対象に、タンパク質抽出と発酵という2つの加工手法について検討を行います。
抽出においては、従来の湿式抽出法ではなく、はるかに持続可能性の高い乾式分画法を一部に採用する予定です。並行して、ジャガイモの副産物を餌に真菌を培養し、生成されたタンパク質を食品原料とするバイオマス発酵の手法を探求します。
微生物の力を借りれば、グルコシノレートやフィチン酸といった好ましくない化合物を避けられるばかりか、味や香りの向上に寄与する可能性も。さらに、ビタミンB12やK2などを産生する能力を持つ一部の菌を活用することで、発酵プロセスを通じて栄養価を高められる見込みもあります。
産官学の連携で商業化を目指す
本プロジェクトのパートナーには、ワーゲニンゲン大学の5つの研究グループに加えて、ライデン大学、デルフト工科大学、アムステルダム自由大学が名を連ね、産業界からはAB Enzymes、Royal Avebe、The Protein Brewery、ユニリーバといった企業や、Foodvalleyなどの業界団体も参加。
単なる実験室レベルの実証にとどまらない成果を目指しており、すでに特定済みの用途として代替肉、スプレッド、スナック菓子、そしてテンペのような発酵食品の原材料が挙げられています。
研究チームは商業化に向けた現実的な道筋を見つけるべく、技術開発と並行した消費者調査も実施する予定。消費者に受け入れられやすい形態や、スーパーマーケットの店頭に並ぶ可能性の高い製品の見極めを行います。
また、副産物の有効活用に向けた技術的に有望なアプローチが、なぜサプライチェーンを通じて普及する段階でしばしば停滞してしまうのか、という要因を検証することも重要な柱の一つ。
den Bestenは、「企業側は十分な需要があって初めて投資をしようとする一方で、スーパーマーケット側は安定した供給が見込める場合にのみ商品の取り扱いを検討する」と、業界で生じているジレンマを指摘。そのため、研究者による活動だけでは不十分であり、「真の変革を実現するには生産者、小売業者、政策立案者も巻き込む必要がある」と説明しました。
食品科学の枠を大きく超えて、バリューチェーン上の各プレーヤーの連携で障壁の特定に取り組みつつ、上述した菜種、豆類、ジャガイモ以外の作物の副産物にも適用できるようなモデルケースを示したい考えです。
参考記事:
Millions in funding to put proteins from agricultural side streams back on our plates | WUR
WUR’s €4M project upcycles rapeseed, potato and pulses for sustainable protein
Wageningen-led VASCO project targets overlooked proteins in crop side streams | PPTI News


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