Ivy Farm Technologies、ペットフード向け培養和牛の英国での販売に関する認可を取得

英国・オックスフォードを拠点とする培養肉企業Ivy Farm Technologies(以下、Ivy Farm)が、同社初の規制当局による承認を取得しました。これにより、培養和牛をペットフードブランドや製造業者向けに原材料として供給することが可能となります。
英国で商業化への道を開く
ヒトの食品としての培養肉に関する申請が依然として審査中となっている中、Ivy Farmは英国環境・食料・農村地域省(Defra)および動植物衛生庁(APHA)から、ペットフード用途での販売認可を取得。Meatlyに続き、英国においてペット用培養肉の販売を認められた2社目の企業となりました。
ロンドンを拠点とするMeatlyは、2024年7月に培養鶏肉について同様の認可を初めて取得。その後、植物性ペットフードのブランドTHE PACKと提携して、犬用スナックを市場に投入しています。
ペットフードとしての販売は、英国の「動物副産物(ABP)」に関する規制に基づいて行われます。GFI Europeによると、この手続きは、ヒトの食品に適用される英国食品基準庁(FSA)の「新規食品」の評価プロセスに比べて迅速であり、かつ規制要件も緩やかだといいます。
Ivy Farmは、オックスフォードの施設で、2027年初頭にも初の商業規模での生産を完了できる見込み。供給が始まれば、ペットフード企業は、同社の原料を用いた製品開発に着手できるようになります。
CEOのHarsh Aminは、「今回の承認により、オックスフォードの施設を本格的に稼働させ、ペットの飼い主や彼らが利用するブランドに対して、高品質で栄養価が高く、より持続可能な選択肢を提供できるようになる。今後、事業規模を拡大していく中で、英国をはじめとする欧州のペットフード関連企業と協力していきたい」とコメントしています。
従来品同等の嗜好性が確認された培養肉
Ivy Farmは、北アイルランドで飼育されたF1和牛(交雑種)1頭から生検によって採取した細胞を用いて、生産を開始します。この細胞はバイオリアクター内の無血清培地で培養した後、回収され、メーカーに供給する原料へと加工されます。
同社が引用した第三者の手によるin vitro(試験管内)試験では、培養和牛のタンパク質消化率が98%であったのに対し、従来の牛肉では91%、鶏肉では72%という結果が得られました。
嗜好性の評価については、協働するペットフードメーカーのFold Hillが、犬に対しての小規模なブラインドA/Bテストを実施。Ivy Farmの培養和牛を使用したスナックと、従来の牛肉を使用したスナックをそれぞれ与えたところ、培養和牛のスナックが全く同じように違和感なく受け入れられたとのことです。
Fold Hillの代表を務めるBen Mankertzは、「当社は、パートナー企業に利益をもたらし得る新たなイノベーションを常に把握していることを売りにしている。そのため、Ivy Farmの培養和牛が、犬たちがすでに親しんでいる高級スナックと比較してどのような結果を示すのか、非常に興味があった」と説明。
「ブラインド形式の比較テストにおいて、犬たちは両者の違いを全く見分けられなかった。しかもそのスナックに風味増強剤などは一切使われておらず、培養和牛のみが唯一の風味の源であったことを考えると、なおさら素晴らしい成果だ。次世代のペットフード用のプレミアムな原材料として、非常に大きな可能性を秘めている」と語っています。
Ivy Farmは2023年に、北アイルランドの食品メーカーであるFinnebrogueとの提携を通じて、和牛の細胞を用いた取り組みを開始しました。当初の計画では、培養肉の食用利用が認可された段階で、英国の小売市場向けに培養和牛バーガーの投入を目指していたものの、実現時期は未定。
現在は、規制当局や製品化を行うシェフと協力して発売の可能性を検討しており、英国・米国・シンガポールで承認を待っている段階です。
参考記事:
Lab grown wagyu beef receives UK approval for pet food | News | The Grocer
Ivy Farm Cleared to Supply Cultivated Wagyu to UK Pet Food Makers Ahead of 2027 Scale-Up
Ivy Farm Technologies gains UK approval for cultivated wagyu beef in pet food | New Food


この記事へのコメントはありません。