欧州司法裁判所、植物性代替肉の表示を規制するフランスの政令を審議へ

フランスで植物性食品の表示論争が活発化。フランス国務院(Conseil d’État)欧州司法裁判所に対し、植物性代替肉製品への「肉を想起させる表現」の使用を禁止することが、欧州連合(EU)の法律と矛盾しないかどうかを明らかにするよう要請しています*1

禁止を一時撤回も、EUで再審議に


この要請は、欧州ベジタリアン連合(European Vegetarian Union)とフランスベジタリアン協会(Association Végétarienne de France)が、フランスの政令がEU法と矛盾していると主張して訴訟を提起したことを受けて行われたものです。

フランスは昨年6月、植物性代替肉製品への「ソーセージ」や「ステーキ」といった表現の使用を禁止する政令を公布。フランスの食肉業界関係者は、EU最大の牛肉生産国である同国の禁止案を歓迎・支持しており、食肉業界のロビー団体からの圧力が強まっている様子がうかがい知れます。

しかし、同国の植物性食品企業(La Vie FoodsUmiamiHappyvoreなど)のコンソーシアムであるProtéines Franceが訴えを起こし、法廷の場に持ち込まれました。

フランスの最高裁判所である国務院では、同政令は植物性食品を扱う企業の利益を害するものであり、消費者に正確な情報を提供するという観点からも不当と判断。これを受け、フランス政府は7月に禁止を一時撤回しています。

今回の要請を受け、欧州司法裁判所では、フランスが制定したような独自の追加法の導入はEU加盟国に認められるのか、また認められる場合、同法が消費者に透明性を提供するという目的を達成する上で妥当なものか、という2点について回答予定。回答が得られ次第、フランス国務院で裁判が再開される見込みです。

欧州・米国共に表示問題では議論が続く


EUでは2020年、植物性代替肉製品に「バーガー」や「ソーセージ」といった用語の使用を禁止するとした規則修正案を否決。フランスの政令と同様の内容を一度検討し、却下した過去があります。

しかし代替乳製品に関しては、2017年に欧州司法裁判所が真逆の判決を下しており、現在のところピーナッツバターやアーモンドミルクなど一部の例外を除いて、乳製品用語の使用は禁止されています*2

具体的には、「ミルク」「バター」「クリーム」「チーズ」「ヨーグルト」といった呼称は、植物由来の代替品には使用できません。

しかしその後、EU各国の国内裁判所で、「alternative to yoghurt(代替ヨーグルト)」、「cheese-style(チーズ風)」、「creamy(クリーミー)」などの表現は使用可能であることが確認されている様子。また、牛乳パックやヨーグルトカップなど、同じ容器の使用も可能です。

同じく米国でも、いくつかの州で同様の禁止措置が取られていますが、The Good Food Instituteや植物性食品メーカーの訴えによる裁判の結果、表示を求める新法自体が違憲とされたケースもあります*3

*1 https://www.euroveg.eu/veggie-burger-debate-makes-it-to-european-court-of-justice/
*2 https://gfieurope.org/policy/labelling/
*3 https://framtiden.earth/2023/06/15/report-8/

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